■愛宕山鉄道鋼索線 MTB          ■自転車旅行記へ

2010年10月23日(晴)

14年くらい前になるが、『鉄道廃線跡を歩く』という本を立ち読みして愛宕山ケーブルの存在を知り、いつか行きたいと思っていたルート。
清滝からケーブルカーを使って愛宕神社への参詣客を運んだ愛宕山鉄道鋼索線は、嵐山〜清滝まで結ぶ平坦線と共に1929年に開業、1944年に廃線となっている。

京都市内から清滝トンネルを抜け、駐車場のある所まで北上。清滝川に架かる橋を渡ると道路はT字路に分かれている。表参道に行く場合は左、裏参道へ行く場合は右に進むことになるが、今回は正面にあるコンクリートの階段から取り付くことになる。

この階段も清滝トンネルと同じく、愛宕山鉄道の遺構である。階段を上ると草むした空き地に出るが、ここが清滝川駅跡地だ。空き地の右手に、一直線に軌道跡らしき道が延びているので、これを進む。

一定勾配で延々と続く軌道跡。左側にレール跡があり、右側は保守用の階段となっている。勾配は思ったよりも緩く、バイクを押したままで進んでいける。自分は突き出たボルトに注意しながら、スロープの部分を歩いて行く。しばらくは表参道がすぐ近くを通っており、左上方を見上げると人の姿が見える。

軌道跡は徐々に落ち葉や土砂で埋もれるようになる。コンクリート造の橋梁を渡ると、やがて第一隧道が現れる。トンネルは全部で六ヶ所あり、うち二ヶ所(第三隧道、第五隧道)が内部で崩落しているため迂回しないといけない。出口が見えてはいるが、足元は何も見えないのでライトを照らしながら進む。

第一隧道を抜けるとすぐ、第二隧道が現れる。第一隧道に比べると短い。続いて第二橋梁を渡る。

愛宕山鉄道は戦時中の不要不急線に指定されたので、金属資源となるレール等は全て撤去されたが、架線柱の基礎や橋梁の欄干跡などはそのまま残っている。

第三隧道。内部が崩壊しているので出口が見えず真っ暗である。トンネルの方へは向かわず、迂回路として右手の斜面に取り付く。最初は獣道のようだが、やがて道形がはっきりしてきて、山腹を巻くなだらかな道となった。途中で道が二手に分かれて少し悩んだが、左手の急坂の方を選んで高度を上げていった。また、ところどころ赤いテープがぶら下がっているので道標になる。

そのまま踏み跡を辿れば、第三隧道の出口のところへやってきた。トンネルの中を戻る方へ、少しばかり進んでみる。ライトを照らしても何も見えず、崩落した場所はほど遠いようなので、あきらめて戻ってきた。

第三橋梁を超え、第四隧道。第四隧道は全長は短いが、トンネルの途中から行き違い用に複線となっている。写真は、トンネルの出口側(高い方)から振り返って撮影したところ。トンネル出口の形状も幅が広くなっているのが分かる。

第四橋梁を過ぎると再び単線に戻る。

続く第五隧道。トンネルは入口すぐの所で崩壊しており、土砂が頂部まで埋もれて塞がっていた。

また、トンネルの入口のところに仮設用の足場材が整然と積まれていた。かなり古い資材ではあるが、塗装の劣化や錆びの進行具合から戦前のものほど古くはなさそうだ。何のためだか分からないが、戦後になって再建を試みた会社が調査用に設置したものなのだろうか。

こちらの迂回路も、第三隧道と同じように右手の斜面から取り付く。最初は急斜面の獣道だが、やがて平坦になり、幅の広い登山道(林道?)に出る。ルートを間違えて表参道に合流してきてしまったのかと思ったが、どうやら地図にはない道のようだ。どこからつながっているのか気にはなったが、この登山道は無視し、そのまま道の反対側へ続いている踏み跡を辿っていく。

先ほどと同じく踏み跡を辿れば、ちょうど第五隧道の出口にあたる場所へと導かれた。

第五橋梁、第六隧道を超え、第六橋梁。写真で分かる通り、付け根部分が崩壊している。高度もかなり高いところを80年前の風化した橋梁で渡っていくわけだが、実際渡ってみると結構頑丈であり、それほど危険な感じはしない。

橋梁からは周辺の北山が遠望でき、眺めがとてもいい。愛宕山の一般登山道でもここまで優れたビューポイントは少ないだろう。

第六橋梁を過ぎれば、軌道は愛宕駅に向けて一直線となる。この間にも、先ほどと同じ仮設足場材が集積されている場所がある。

やがて、終着点の駅舎へと辿り着いた。駅舎は鉄筋コンクリート造の二階建てで、風化が著しく、柱や梁、階段下の鉄筋がむき出しになっている。外壁は一面ツタで覆われている。駅舎の中に入り、階段を登って二階で小休止。

駅舎の外観と内部の様子。

この愛宕駅舎から、水尾分れへ向かう登山道が延びているが、こちらへは進まず、p745付近にある愛宕山ホテル跡へと向かう。ホテルは荒廃が進み、コンクリート造の基礎や外壁の一部が残っている。また、p745近辺には、営業当時のものと思われる什器などの残骸があちこちに散らばっていた。

ホテル跡を過ぎて樹林の中をさまようように進むと、表参道との合流地点である水尾分れ近くに出た。水尾分れからは、人の多い表参道は通らず、表参道から少し離れた尾根沿いの道をつたって行くと、そのまま愛宕神社の手前までやってこれた。その後、愛宕山三角点を経由し、サカサマ峠から梨木谷に降りる登山道を使って清滝へ戻ってきた。

【清滝登山口(8:10)〜第一隧道(8:22)〜第二隧道(8:28)〜第三隧道入口(8:38)〜第三隧道出口(8:48)〜第四隧道(9:05)〜第五隧道入口(9:24)〜第五隧道出口(9:45)〜第六隧道(9:50)〜愛宕駅舎(10:24/10:38)〜ホテル跡(10:43)〜水尾分れ(10:53)〜▲愛宕(11:40/12:24)〜サカサマ峠(13:14)〜梨木大神(13:52)】

カシミール3Dにより作成
inserted by FC2 system