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恵那山といえば、恵那山トンネルを思い出す。長野から中央自動車道を通って帰省する際に必ず通過した、深夜の交通量の少ない時であればついつい時速180kmまで出てしまうような、全長8649mの長い長い一直線のトンネルである。トンネルのほぼ中央の真上には、約1kmもの標高差を隔てて神坂峠があり、古くから美濃と信濃を結ぶ主要路となっている。

●2009年6月6日

初日は、中津川駅から神坂峠の萬岳荘まで、標高差1300mの舗装路を走る。宿泊地に早く着いてしまうと退屈してしまうため新幹線は利用せず、米原までは快速、米原から中津川までは特急を利用した。1時間ほど余分にかかってしまう上、料金も大して安くならないが、輪行しているので乗り換えが少ない方が有り難い。輪行を終えて中津川を出発したのは、昼を過ぎてから。延々と登り一方の峠道を辿って、午後3時半に萬岳荘に着く。

神坂峠

萬岳荘は素泊まりのみの営業だが、木造の立派な建物であった。単独登山は自分だけだったので、大部屋一つを貸しきり状態。他の部屋はそれぞれ5〜15人くらいの団体登山客が占めている。夕方から雨が強く降り、小屋周辺は、ほんの数メートル先が見えない濃い霧に包まれる。夕食はアルファ米2人前とレトルトカレー、シーフードライトのカップ麺を作る。

●2009年6月7日

3時半に目が覚める。隣の部屋の団体が朝食の準備を始めたようだ。そのうち明るくなったので外に出ると、雨は上がっていた。4時40分に出発。神坂峠から登山道は始まり、昨日の雨と朝露に塗れたササ道を行く。ヤブ漕ぎとまではいかないものの、場所によっては背丈ほどのササに囲まれた狭い道なので、徐々に足元から塗れてきた。部分的に道幅が1メートルくらいまで広がった場所があったので、そこで合羽を着用したが既に遅かったようで、衣服に吸着していた水分が次第にウールの靴下にまで浸透し、やがて靴の中が水びたしになった。

笹の茂る道

雲海の向こうに御嶽と乗鞍が隣り合うように並んでいて眺めも良く、傾斜もほとんどない歩きやすい尾根道が延々と続くが、ずぶ塗れの足のせいでとにかく不快極まりない。大判山からは、船を伏したような形の恵那山が見える。天狗ナギから頂上の稜線に出るまでの300mの標高差の部分が、唯一の登りらしい登りである。頂上の稜線はほとんど水平な道で、複数の祠や避難小屋、トイレ等などが建っており、30分ほど歩けばようやく三角点ピークに至る。

山頂にはやぐらが建てられているので登ってみるが、雲っていて何も見えない。ブヨが大量発生しているので山頂でゆっくりすることもできず、避難小屋に戻って食事する。

避難小屋

下山路は黒井沢の方へ向かう。前半は岩や木の根が這っている歩きにくい巻き道、後半は厄介な谷沿いの道。このルートを登りに使用する人も多く、踏み跡はしっかりしている。地図で示された場所よりも更に100m標高を下げ、やっと林道に出る。雨上がりの未舗装の長い下り道、当然ながら全身跳ね返りの泥水にまみれる。

午後2時に中津川駅に戻ってきた。駅近くのショッピングセンターで早速靴下を買い、帰りの電車の中で履き替え、ようやくすっきりした。

下山路
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