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2009年5月2日

大糸線の有明駅で一人下車する。他の登山者はみんな一つ手前の穂高駅で下車していた。おそらく登山口である中房温泉に向けてのバスが運行しているのだろう。有明駅から登山口までの道は単調な一本道で、標高差は900mあり、全て舗装路だ。観音峠、信濃坂というほとんど登り一方のみの2つの峠を越して、中房温泉の少し手前、有明荘に着く。ここに立派な食堂があるので昼食にする。

中房温泉の受付では、でかいコリーの犬が出迎える。最初に温泉の説明を聞く、というより、あまりにも説明が長いので9割以上聞き流す。部屋の準備ができるまで1時間弱あったので、もらった案内図を片手に敷地のあちこちに散らばっている露天風呂を見て廻って時間を潰す。部屋に案内されてからしばらく仮眠し、館内の温泉に入りに行く。その後も夕食まで時間が余ったので、ロビーの本棚にあった戦前の少年少女向け小説を読む。褐色に焼けた虫食いだらけの本、昭和15年刊行とあるが、こんなの良く残っていたものだ。意味のよく分からないグダグダのストーリーが続く。読み進めるうち、本がボロボロと解体されていくので、怖くなって読むのをやめた。夕食の後も、時間を潰すのに苦労した。部屋にあった積み木パズルは速攻で解いてしまい、テレビもおもんないバラエティばかりですぐ消した。10時ごろには寝ていたようだ。

中房温泉の犬

2009年5月3日

この日も行程が短いのでゆっくりする予定だったが、早くに目が覚めたので5時半出発となる。合戦尾根は、急な階段の道から始まる。尾根道は標高差1000mあるが、要所に休憩所があってベンチが据えられているので有り難い。第1ベンチは素通り。標高1700m辺りから雪道になる。第2ベンチで上着を脱いで日焼け止めクリームを塗り、中房温泉で用意してもらった弁当で朝食。第3ベンチでアイゼンを装着。やはり人気コース、反対から降りてくる人が多い。スキーを背負っている人もいた。重さは全部で30kg。持って上がるだけで疲れたので、滑降せずに降りてきたとの事。何だかやってることは似ている。また、十勝岳からトムラウシまでMTBで縦走したことがあるけど全く乗れず残念だった、と言っていた。一体、何キロの距離があるのだろう??自分も北海道、いつかは行ってみたいものだ(金と時間がかかるけど)。続いて現れる富士見ベンチは素通り。合戦小屋にはテン場があり、小屋の中には入れないが屋外でコーヒーやドリンクを販売していた。既に水を2.5リットル積んでいるので、ここも素通り。合戦尾根は、徐々に緩やかな勾配になる。北アルプス3大急登なのでもっと激しいかと思っていたけど、前回登った大峰釈迦ヶ岳の前鬼コースとあんまり変わらないのではないか。少なくとも、早月尾根とは比較にならない気がする。いつしか森林限界を過ぎていたようで、常念岳までの真っ白な稜線と槍・穂高も眺めるようになる。

合戦尾根

ほどなく燕山荘に着いたので宿泊手続をして小屋に荷物を置き、チャリだけで燕岳をピストンする。小屋まで来て初めて、燕岳の独特の風貌が明らかになる。花崗岩はかなり風化していて、軽く触れただけでもぼろぼろと削れてゆく。山頂へはあっけなく到着。小屋に戻って12時。食堂で昼食を済ませたあと、またしても夕食の5時まで退屈する。スパッツに穴が開いていたので、売店で新しいのを買う。登山地図をぼーっと眺める。その間にも続々と人がやってきた。小屋はほぼ満室で、最終的に4畳に4〜6人ほどの割り当てだった。夕食後もi-podで音楽を聞いて時間つぶし。この日も、10時頃に寝たもよう。

燕山荘から燕岳

2009年5月04日

やはり早めに起きてしまったので、昨日と同じ5時半出発。天気は曇り。この日はなだらかな稜線歩き、平和な気分で歩く。と思いきや、突然現れるゲーロ岩。んー、こんな穴に人間が入れるのか?人一人がやっと可能なくらいで、メタボだったら完全に無理ではないか、と思えるくらいの狭さ。巻き道へ迂回しようとする足跡があるので、迷わず追っていくが、その先は手がかりのない雪の急斜面、滑落したら死亡確定。まだ死にたくないなぁ。仕方なく穴と格闘するが、予想通りどうやっても自転車が通らない。試行錯誤の末、前輪を外して分割すれば、辛うじて通過することができた。その後、前輪をフォークに戻そうとするも、ブレーキレバーを岩にぶつけたのが原因でディスクローターがパッドの間に入らなくなり、修理に余計な時間を費やす。結局、ゲーロ岩の前後で長時間モタモタしてしまった。その間、後続が来なかったことが幸い。

蛙(げえろ)岩の通過

槍〜穂高を眺めながらの長い縦走路が続く。ようやく、大天井岳への登りにさしかかる。地図に出ている夏道は山腹を巻いていくのに対し、目の前のトレースは、頂上までの300mの標高差を直登している。さすがにこれは肩にきた。曇り空で汗をほとんどかかなかった分マシだろうけど、晴れていればずいぶん体力を消耗しただろう。

大天井までの稜線と槍・穂高連峰

大天井岳頂上、今回のルートでの最高地点2922mに立つ。休憩もそこそこに先を進む。と、ここで、昨日4000円で買ったばかりのスパッツが使い始めて数時間しかたっていないのに破けていることに気付く。ゲーロ岩を通過するときにアイゼンで引っ掛けたのだろうか。一気にテンションが下がる。大天井から先は雪が吹っ飛んで岩場のごつごつした道が常念小屋まで続いたが、結局、アイゼンを外すのを常念乗越を下る直前まで渋ってしまい、足に余分な負担をかけた。

大天井頂上

雪のトンネルを潜って常念小屋に入り、宿泊手続と昼食を済ませる。夕食後、天気予報を見ると、翌日の午後から下り坂になっていて明後日が雨との事。この時点で、明日は上高地への縦走はあきらめて、常念岳を往復してから一ノ沢にエスケープしようと決心する。寝室は5〜6畳の個室に4人で比較的ゆったりしていたけど、夜間暑かったせいか恐ろしく寝苦しかった。1時間おきくらいに目を覚ましては時計を見て、朝までの時間の長さに絶望する。

大天井岳を振り返る

2009年05月05日

結局、日の出過ぎまで寝ている。寝室の窓から外を見ると、意外にも快晴の青空が広がっていた。この2日間、ぼんやりした曇り空が続いていたので、朝日を受けて輝く常念の姿を見て気分も一新。まもなく天気が崩れるだろうという事は分かっているけど、快晴の空にだまされて縦走してみるのも悪くないなと考える。

常念小屋から常念岳

6時、水も2.5リットル積んでフル装備で出発。常念岳山頂へは、ジグザグの急坂で標高差400m、無心で登る。下を見下ろすと、みるみるうちに眼下の雲が鞍部の視界を塞いでいく。頂上に近づくにつれ雪が積もってくるのでアイゼンを装着。やがて厚い雲に取り囲まれたようで、周囲の視界は真っ白になり、踏み跡だけを頼りに進む。7時9分、山頂到着、展望はゼロ。

常念岳山頂

山頂でアイゼンを外す。ここから南側の下りは、今回のコースの中で最もガレていて、険しく長い。MTBを肩に乗せたまま岩の上を飛び渡るのは、絶妙な重心の移動を要求される。かなり体力を消耗したはずだけど、半ば楽しんでいたので、そんなに辛くなかった。森林限界が終わり、樹林帯の中に入っていくと再び雪が積もるので、アイゼンを装着する。2512ピーク、2592ピークは雪道の急登。そして蝶槍はガレの急坂。アイゼンをつけたり外したり忙しい。しかも、ここまでほとんどMTBを着地させていない。肩が痛い。

樹林帯の坂道

11時、蝶ヶ岳頂上。相変わらず、深いガスに包まれている。蝶ヶ岳ヒュッテで食事する。ここまで縦走している者も少なく、小屋は閑散としている。あとは長い長塀尾根の下り、アイゼンを装着して下りだす。雪がクッションになるので楽。地形的に迷いやすそうな尾根だが、徳沢から登ってくる人もいてトレースはしっかりついている。標高2000mでアイゼンを外す。後半は、腐った雪から泥へと変わって、うんざりする。幸い、雨には降られずに済んだ。

午後3時、泥まみれで徳沢園に到着。噂通りのきれいな所。風呂、洗濯、夕食を済ませ、カーテンで仕切られた1畳の和室で快適に過ごす。

2009年05月06日

予報通り、朝から雨が降っていた。8時に出発して水平なダート道を走る。河童橋で舗装路になって安心するも、雨が次第に強くなり急激に体温が奪われる。山の中では使わなかったオーバーグローブと中間着を着用していてもまだ寒い。大正池のホテルの庇下でしばらく雨を凌ぐ。釜トンネルは11%の下り勾配で路側帯も十分広く、心配していた通過の支障はなかった。

釜トンネルを抜けたところに中の湯温泉の取次?をやっている売店があったので入る。暖かいコーヒーとストーブで暖まる。店番をしていた元不良っぽい感じのオッチャンに高山へ行くつもりだと告げると、安房トンネルは自動車専用道路、旧道の安房峠は冬季閉鎖中なので、自転車では高山に抜けられないと言われた。そこで反対方向の新島々へ下ることになったが、この国道158号線、今回の行程で最も恐怖を感じたところとなった。交通量が多い土砂降りの中、まともな路側帯のない長距離トンネルが延々と連続する。トンネル内は幅員がやたら狭くなっていて、照明は暗くてカーブも多く、路面は穴ボコが多い上に車道の端が滑りやすい白線とグレーチングになっている。トンネル走行にはかなり慣れてるつもりでいたが、さすがに今回は恐怖を感じずにはいられなかった。危ない場面にも何度か出くわしたが、よく事故を起こさずに済んだものだと思う。

11時過ぎに新島々駅に着く。自転車をそのまま車内に持ち込めると思っていたが、それには事前の予約が必要なため、やはり輪行しなければいけないとのこと。電車の出発まで残り5分しかないので次の電車まで待つように駅員に言われたが、得意の3分輪行で何とか間に合わせる。今回は大したトラブルなく、無事帰宅した。ここ1〜2ヶ月減量を続けてきた効果が出たのか、以前よりもずいぶん登りが楽に感じた。筋力を多少犠牲にしても痩せた方が負担が少ないような気がする。現時点でBMIが22、体脂肪率が11、9月までにはもっと減量してやろうと考えている。

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