■開聞岳 MTB          ■自転車旅行記へ




黄色は林道、は山道を示す

●2015年9月22日(晴)

シルバーウィークは九州の開聞岳へ。

残り一ヶ月を切ってから行先を決めたため、割安で利用できる飛行機がスカイマークに限られた。神戸空港にて搭乗手続きをしていると、自転車を見るなりパンク修理用のゴムのりを持っているかどうかを尋ねられたので「持っています」と答えたら「出して下さい」と言われ、そのまま没収された。一瞬の出来事に唖然とする。たしかに小さくても危険物には違いないが、ゴムのりを没収されたのは初めてだ。もしも「持っていない」と答えたら、おそらく没収されなかっただろう。いい加減なもんである。係員の話し方もたどたどしく三流まるだしだったが、まあ安いから仕方ないだろう。

鹿児島空港からレンタカーを利用。JRのローカル線があるけれど本数がきわめて少なく、全く使えない。下山後の宿も山の近辺では確保できず、その日のうちに鹿児島市内まで移動する必要があったことから、少々高くてもレンタカーを利用することに決めた。費用は2日で1万円以上かかったが、登山中に不要な荷物もデポできて便利さはこの上ない。唯一デメリットがあるとすれば、『自転車に乗る機会がほとんどなくなってしまう』ということくらいか。





初日は頴娃町の水成川駅近くにある旅館『いせえび荘』に前夜泊。そこから見る開聞岳は、まるで海に浮かぶ富士山。標高900m余りの山とは思えないほど堂々としている。

翌日、車を登山口の駐車場に停めて登山開始。シルバーウィークなのでかなり多くの人が登っている。道はよく整備されているが、全体的に道幅が狭くて火山性の砂礫のために滑りやすい。天候はどちらかといえば曇り空であったが、草木が茂っていてムシムシしており気温・湿度ともに高く、9月下旬とは思えないくらいに蒸し暑かった。また、人も多いためか蚊が多かった。特に前半は、常に何匹もの蚊が体にまとわりついてくるために休憩さえできなかった。





途中からは岩がゴロゴロして自転車を押して歩けるような状態ではなくなった。ほぼ担ぎっぱなしになる。汗が大量に流れるが、水は節約しなければならない。





後半になると蚊も少なくなり、風通しのいい展望が開ける場所が僅かながらにある。自転車を登山道の草むらに倒して、ようやく落ち着いて休憩できることになった。


   


しかし、後半の方が自転車にとっては困難が増すことになった。岩場やハシゴが現れて足元が少々険しくなってくる上、頭上に草木が覆いかぶさるような天井の低い道で、反対側から下山してくる人の数はどんどん増えてくる。自転車を担いだ状態で狭い岩場を飛び移り、低い天井に腰をかがめ、集団でやってくる登山客と離合するということを同時にしなくてはならなかった。当然ながら、自転車が邪魔にならないように細心の注意を払ったので、突然自転車が現れてびっくりはされたものの顰蹙を買うようなことはなかった。唯一、小学校低学年くらいのクソガキ男児から「こんなところに自転車を持ってくるなんてあぶないですよ~(標準語)」などと注意された。





登山口から3時間弱かけて山頂に辿り着いた。百名山49座目のMTB登頂となる。

草むらに囲まれた狭い岩場の山頂に、家族連れを中心とした大勢の登山客(20~30名ほど)がいて大賑わいである。展望は360°と聞いていたが…、茂る草木と曇り空のせいか期待したほどではなかった。風は強く、少々寒い位だった。30分程昼食休憩をした後、まだ人が多い中、下山することにした。


   


下り道もひたすら長く感じられた。自転車で日本一周したという68歳の地元のすし屋の男性と会話しながら下山した。4年前に鹿児島を出発したが紀伊半島を走行中に東日本大震災が起きて一度は断念、今年になって中断した所から再開して日本一周を達成したらしい。新聞やテレビでも取り上げられたらしく、その時の記事や写真などをタブレットを使って見せてくれた。他にも多様な趣味の方へと話は展開していき、自分の体の柔らかさを示すためにY字バランスを披露したりと、なかなか面白いオッサンであった。やはり、目標があって夢中になれる人は年齢に関係なくいきいきとしているし、自分もそうありたい。さっきのクソガキには無理だろうなぁ。

標高が500m以下になると再び蚊が勢いよく飛び回る。水不足のせいだろうか、行きと同じ道なのにとてつもなく長く感じた。駐車場に戻ってくるまでに2時間半かかり、登りと大して変わらないペースだった。自販機でペットボトルを買い、一気飲みした。日本一周のオッサンはスクーターにまたがり、自宅へ帰って行った。自分も自転車を車に乗せて鹿児島中央駅まで走り、レンタカーを返却して駅前のB&Bパークホテルに宿泊した。部屋には無料のマッサージチェアがあり、使ってみると心地よくて疲れが一気にとれた気がした。夕食は駅ビルの地下にあるラーメン屋で夕食にしたが、京都の人間にとっては味が薄すぎた。その後に天文館むじゃきで食べた白熊は最高にうまかった。(下写真)

翌日、新幹線にて帰宅。標高が低いため甘く見ていたが、自転車との相性が悪くて登り応えのある山だった。わざわざ遠くまでやってきたのだから、すぐに登れてしまう山よりはこっちの方が断然いいだろう。ただ、富士山と同じく、『登る山』よりも『眺める山』という印象が強く残った。




おわり

inserted by FC2 system