■九重山 MTB          ■自転車旅行記へ



●2013年12月30日(曇)

九州地方の年末の天気予報が崩れ気味だったため、急遽出発日を一日遅らせた。直前での変更であったが、切符も宿泊も運よくキャンセル料なしで次の日へずらすことができた。新幹線はグリーン車に乗ることになった。12月初めの特急券購入では既に通常の指定席の空きがなく、かといって超混雑の自由席に乗るのは嫌だったので、泣く泣く馬鹿高いグリーン車の料金を支払うことにしたのだ。初めてグリーン車に乗ってみたが、無駄にシート間が広くて落ち着かなかった。これを反省に、今後はもっと早めに切符を購入しよう。


13:30、新幹線と在来線を乗り継ぎ、6時間かけて豊後中村駅に到着。九重町のマスコットであるミヤマキリシマの妖精が出迎える。この後男子便所に入っていったので、おそらく性別は男だろう。


15:50、長者原。九重最大の登山基地。標高は1000mを超えていて積雪が多いが、それにも増して交通量が多いので路面は見ての通り全て融けている。せっかくのスパイクタイヤの出番は無かった。


16:10、この九重観光ホテルに泊まった。写真のように古びた外観からは想像しにくいが、内装は新しくてそこそこ豪華であり立派なホテルである。登山口から一番遠く離れているせいか、宿泊者は少なかった。

●2013年12月31日(晴)


8:00、ホテルを出てさらに車道を登り続け、約30分後に牧ノ戸峠に到着。峠には大きな駐車場と施設があり、車と人で混み合っている。ライブカメラも設置されているようだ。今回はここの登山口から登る。


アイゼンを装着して牧ノ戸峠を出発する。ここから登って行く人もかなりいる。しばらくは雪の積もった遊歩道の上を行く。この遊歩道は、最初のピークである沓掛山の近くまで延びているようだ。


遊歩道が終わって登山道をしばらく行くと、沓掛山に到着する。見晴らしは良いが、あまりピーク感のない山だ。


9:15、沓掛山の山頂より。これから進む尾根道と星生山を見る。


9:55、扇ヶ鼻の分岐近く。雪の量もかなり増え、樹氷が発達している。


10:15、星生山への分岐。ここでピークハントするか迷ったが、誰も行ってないようで踏み跡がないため断念。そのまま久住山方面に進むことにした。


10:30、久住分れの避難小屋。もし星生山に登っていたら、この岩場の尾根を下らなければいけなかった。自転車ではちょっと厳しすぎる。行かなくて正解だ。


11:00、ひと登りで九重連山の主峰、久住山の頂を踏む。久住分れから久住山までは登る人が多かった。


11:15、久住山東側のピークより。ちょうど晴れ間が重なって良い眺めを得た。左より、中岳(1791)、白口岳(1720)、稲星山(1774)。


11:50、稲星山は遮るものがない地形のためか、山頂付近で凄まじい強風に見舞われた。ピークでは10分ほど伏せたまま頭を上げることすらできず、ピークハントの写真も伏したまま撮影。風が少し弱まった隙をついて北側の斜面へ逃げ込んだ。稲星山へ登っている人は誰一人おらず、今回一番スリリングだったところだ。


稲星山の北斜面を降りると、目前に中岳を控える。ここが九州本土最高峰となるので、何としてでも登っておきたいピークだ。


中岳の南側斜面はかなりの急勾配で、一部岩場やロープ、ハシゴも登場する。10歩進むたびに息が上がって休止。


12:30、苦しい30分間の登りの末、九州本土最高峰、中岳(1791)に到着。写真の左奥は九重連山東側の盟主、大船山(1786)。なかなか風格のある佇まいである。


中岳の西側に天狗ヶ城という双耳のピークがある。登っている人もいたが、疲労困憊でとても登る気がしない。すんなり諦めて、御池の方へと下った。


12:50、中岳の直下、御池へと降りてきた。中岳へは、こちらから登った方がはるかに楽だったようだ。御池は、MTBを乗車して反対側まで渡って行った。


13:10、久住分れから坊ガツルへの下り。反対側から自転車を担いでくる人が…。ついに同じ仲間に出会う。今まで同じことをしている人に出会ったことがなかったが、こんな冬山で遭遇するとは!


雪山に2台の自転車の図。昨日は大船林道から坊ガツルでテント泊をし、この日は久住山に登ってから避難小屋泊まりだそうだ。小屋泊の自分に比べるとかなりの重装備である。


法華院山荘に向けて下る。大岩がごろごろする沢沿いの道であり、連続する堰堤の横を通りすぎる。


14:20、法華院温泉に到着。続々と人がやってくる。受付で行列ができていて20分くらい待った。最初予約した時は個室であったが、日をずらしたため大部屋になった。この日は大晦日であり、なんと宿泊者143人にまで増えて大部屋もほぼ満員に近かった。こんな山奥でも温泉に入れるのは有難い。温泉の湯が結構垢で汚れてしまっていたのが残念だが、この大人数だから仕方ないだろう。食事を終えると、大晦日ということで外れなしの抽選会や全員に樽酒も振る舞われ、じつに賑やかな一夜となった。

●2014年1月1日(晴)

朝、起きるとほとんどの人が朝食に行ったか初日の出を見に行った様子で、大部屋には人が余りいなかった。自分は小屋の朝食を注文せず、余り気味であった自前の食糧で朝食をした後、小屋を出た。予定では大船山に登った後、大戸越まで下りてきて男池の方へ抜けるつもりでいた。ところが、出発前から風の音が強く聞こえていたので、大船山を経由することについては慎重に決めることにした。昨日の稲星山での突風もあるが、去年のGWで経験した朝日岳での強風がかなりトラウマになっているようだ。


8:00、坊ガツルより大船山方面を眺めるが上部が雲に覆われている。雲の動きが速く、相当な風が吹いていそうだ。


とりあえず大船山の方へ向かった。踏み跡はしっかりとついているが、道が狭くて急坂なので自転車にとってはなかなかの重労働である。

初日の出を見に行った人が続々と反対方向から降りてくる。頂上の様子を聞くと、やはり一度稜線に出れば立っていることができないほどの風であり、ほとんどの人が山頂まで行かずに稜線まで上がりきった所で引き返したとのことであった。

そんなところへ自転車を持っていけば、いとも簡単に煽られてしまうだろう。稜線を歩けなければ、ピークハントはもちろん、峠を越えることもできない。

そう考えて、途中まで登ってきた道を引き返すことにした。


一旦分岐まで戻り、直接大戸越を越える峠道を進む。数人歩いただけではあるが、トレースもついている。雪のおかげで自転車を押すことはできず、終始担ぎになり、息が上がって100歩毎に休憩を要した。


10:30、大戸越(うとんごし)。雪のせいでコースタイムの倍かかって到着。峠から平治岳(ひいじだけ)を眺める。風で雪が飛ばされているようだが、今ならそれほど風は強くない。せめてここをピークハントしよう。


11:45、トレースもあり何とか登りきったが、自転車ではきつかった。雪、急坂、岩、灌木と障害だらけで、結局ここもコースタイムの倍以上かかってしまった。山頂の風は危惧していたほど強くはなく、断念した大船山をはじめ九重の山々の眺めは秀逸であった。


峠に戻り、反対側の峠道を下り始めた。ここから先は1~2名の足跡しかない。雪質が明らかに変わってよく潜るようになり、狭くて急で歩きにくい道だった。


13:50、またもやコースタイムから大幅に遅れてソババッケと呼ばれる窪地に到着。ここで昼食休憩にする。「ソババッケ」なのでヤキソバを食す。


ソババッケから先は歩きやすい尾根道となり、45分で男池(おいけ)に到着した。15時過ぎ。池はどうみても水たまりにしか見えないが、名水百選にも選ばれている有名な湧水であるらしい。


男池からは、雪の完全に融けた道路を3kmほど下って白水鉱泉の黒嶽荘に向かった。細い分岐の道に入り、人の気配の全くない山奥で場所を間違えたのではないかと思ったが、迷った末に何とか到着した。驚くことに、こんなに山奥ながら電気も通っているし、大家族が住んでいる様子である。ホームページ等で一切紹介されていないので利用者は極めて少ないようだ。この日も一人で貸し切り状態であった。

1月2日、大分駅まで走って駅近くのビジネスホテルに宿泊する。朝食付きで3980円。ランドリーも使い放題。

1月3日、大分駅から小倉駅まで特急、小倉駅から新幹線に乗る。新幹線は自由席しか取れなかったが、余裕を持って座れた(次の新山口駅では満席)。東京のパチンコ屋火災の影響で途中で何度も停車し、2時間以上遅れたために特急料金が払い戻された。これはラッキー!もの凄い得した気分になれたのだが、行きのグリーン車の分までは取り戻せなかったのが残念…。

THE END


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