■経ヶ岳・イチゴ谷山 MTB          ■自転車旅行記へ

●2009年12月6日

若狭と京を結ぶ鯖街道はよく知られるところであるが、その中でも現在は廃れたり途絶えてしまった道も多いだろう。朽木から経ヶ岳を越えて久多へ入る丹波越のルートもその一つで、古くからの街道として存在していたようだ。


「カシミール3D」及びGPSトラックデータにより作成

朽木の桑原橋を渡った所に「じゅうべえ」の看板が出ている農園があるが、この奥の古びた小屋に「経ヶ岳登山口」「茶屋じゅうべえ跡」と書かれた木札が貼り付けられている。


桑原橋登山口

道は植林帯の急登から始まるが、よく踏まれていて歩きやすい。ここから県境尾根に乗る御林谷峠まで、昭文社の地図ではコースタイム2時間となっているが、実際は1時間20分しかかからなかった。経ヶ岳までの道は最近、高島トレイルの延長として市により整備されたためだろう。どんなにゆっくり歩いても2時間はかかりすぎである。


茶屋跡付近(御林谷峠の手前)

今回通り過ぎてしまったが、この御林谷峠の少し手前に「茶屋重兵衛」の屋号を持つ茶店の跡地がある。茶店は少なくとも100年位前までは代々続いていたらしい。今となっては、こんな僻地の山奥にと驚くばかりであるが、古来の街道を偲ばせるには十分なエピソードである。

ここから経ヶ岳、ミゴ越、イチゴ谷山までは県境尾根に沿って行く。この県境尾根も少し昔の記録ではヤブ漕ぎとなっているが、今は難なく進める。丹波越えの街道もこの深い薮に埋もれて消えてしまったのだろう、京都側へ降りる道はなさそうだ。経ヶ岳から先は歩く人も少ないようで、少し荒れ気味にはなるがヤブ漕ぎとまではゆかない。

イチゴ谷山の三角点ピークで昼食。当然の如く展望はほぼ皆無だが、冷たい風が隙間をぬって吹いており、カップ麺用の湯を沸かすのに15分もかかった(ガスの威力が弱いのか)。その後、北北東の尾根に沿って下ろうと試みたが、見通しの悪い尾根で取り付きが分からなかったのでやめた。経ヶ岳との鞍部であるミゴ越まで戻り、ここを平良(ヘラ)谷に向けて下ることにした。


ミゴ越付近

非常に急な谷である。途中から左斜面をトラバース気味に進んでいくが、片足幅分の道幅しかなく、次第に途切れ途切れになる。何度もジグザグを切り返しながら下る。滑落しても大事には至らないだろうが、とてもスリリングな気分を味わった。やがて谷に合流。植林に沿って進んでいくと、林道終点に辿り着いた。このルート、下りに利用したため前方の見通しがまだ利いたほうで、逆に辿れば一層、難しくなるだろう。


平良谷を下る

林道終点の近くには、熊捕獲用とみられる錆びたオリが放置されていた。今は使われてないみたいだ。雑草の茂る林道を下っていくと、「ミゴ越登山口 徒歩二時」と書かれた道標のある、平良谷橋近くの車道へ出てきた。思ったより早く下山してしまったので、小入谷峠経由で寄り道して帰った。


熊のオリ

【桑原橋(9:30)〜御林谷峠(10:50)〜経ヶ岳(11:20/11:33)〜ミゴ越(12:05)〜イチゴ谷山(12:30/13:15)〜ミゴ越(13:37)〜林道終点(14:10/14:15)〜平良谷橋(14:25)】

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