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黄色は車道、は山道を示す


●2018年5月1日


GWを利用して栃木県の那須岳へ登ってきた。
標高は噴火口のある茶臼岳が1915m、最高峰の三本槍岳が1917m。
「那須岳」としてどちらがメインなのか分からなかったので、取りあえず両方登ることにした。(やはり茶臼岳が主峰だった)

休暇村那須(上の地図では「那須国民休暇村」)にて前夜泊をする。(無料の送迎バスを利用したが、乗客は我々二人だけであった)

午前7時の朝食のバイキングを終え、準備を整えて8時前に休暇村を出発したが、建物を出るなり、いきおいのある強風が吹いていた。

車道の登りを風にあおられ、よろめきながら走る。茶臼岳を見上げると、雪は例年よりも至って少ない様子だ。

上方のロープウェイ山麓駅から強風による注意喚起を呼び掛ける放送が繰り返し聞こえてくる。今現在、風速が20mほど出ており、これ以上強くなるとロープウェイは運行停止となり、下山できなくなる恐れがあるとのこと。女性の淡々としたアナウンスが不安をあおる。

帰りはロープウェイを利用するつもりでいたが、行ってみたら運休という可能性もあるということだ。もしそうなれば、もう一度茶臼岳を登り直して引き返してこなければならない。しかも、風速20mのままだったら、自転車を担いで稜線を歩くことはほぼ不可能である。





8時20分、ロープウェイ山麓駅に着いた。ここで、後から路線バスに乗ってやってくる細君を待つ。
強風の中、10分以上待ってやっと合流。この先の登山道に全くトイレがないため、山麓駅でトイレを借りる。

出発してしばらくすると、おなかが痛くなりだした。強風でさむい中、じっとしていたのでおなかを冷やしたようだ。
細君には待ってもらったまま、もう一度、山麓駅のトイレまで走って戻る。





そうこうしているうちに、登山口に着いたら9時になってしまった。





ここから峠までは、初級向け楽勝コースだった。
難を言えば暑すぎた。この時期とは思えぬほど暑い。
遊歩道のような道をしばらく歩けば、視界が開けてきて、正面に峠の避難小屋が見えている。





その右側には、剣が峰直下の雪渓トラバースを渡っている人の姿も見える。
雪渓の雪も、例年の同時期と比べればかなり少ないだろう。





9時45分、峠の避難小屋に着いた。左手に茶臼岳を見上げる。
気がつくと、風はほとんど止んでいた。ラッキーだ。




まずは茶臼岳を尻目に、進路を右にとり朝日岳の方へ向かう。

例のトラバースが近づいてきた。





雪が少ないとはいえ、やはり難所である。高度感があり、踏み外したら遥か下まで滑落してしまうだろう。
雪が日射で融けだしているためか足元が滑りやすくなっており、渡りだしてすぐに軽アイゼンをつければよかったと後悔。





ビビりながらも、何とか渡り切った。樹木を交わす所が難しかった。細君も一騒動あったが、渡れたようだ。
しかし、右手でしか自転車を担げないので、帰りの方が難しい(斜面や樹木が自転車と同じ右側になる)。
果たして無事に帰れるだろうか…、早くも帰りのことが心配である。





続いて、岩場の険しい尾根が続く。細君はここで進路を誤ったらしく、残雪トラバースよりも恐怖であったそうだ。





崖にへばりつくようにつけられた水平道。最初見た時はビビったが、通ってみると大したことはなかった。
残雪でチェーンが埋もれていたりしたら、チャリでは諦めざるを得ないだろう。





分岐を経て、10時45分、朝日岳に到着。奥の方に見えている山は、福島との県境の山々である。





やがて小ピークから下りに転じて「清水平」という湿原に降りてきた。
木道になっており、かすがいが外れてずれたり浮き上がったりしていているが、歩くのに支障はない。





その先の道はぬかるんでいて悲惨だった。(北温泉分岐~三本槍岳までの区間)
靴も泥水で浸水し、タイヤが泥まみれになった自転車を担ぎあげるので、自分の顔やリュックにも泥が落ちてくる。





12時半、那須岳最高峰の三本槍岳へ。
日が射しているにもかかわらず、展望は残念ながらこのように霞んでいる。





昼食は、休暇村の売店で売っていたパンの缶詰。
これでなんと1個450円もするが、昼食になるようなものはこれしか売っていなかったので仕方なしに買った。
(時間がないのと、トイレがないという理由で、カップ麺などの選択肢は初めからなかった)
どちらかといえば災害時用の保存食なので、味はまあ予想通りで、パサパサで飲みこむのに苦労した。
せめてもう少し甘くしてくれたら食べやすいのに。

食事を済ませ、再出発する。もう1時になってしまった。時間があまりない。
今度は茶臼岳に向けて、往路を戻る。再びあの嫌なぬかるみも通過する。疲労もあってか、ペースが少し落ちてきている。





1900ピークの下りで細君が足をつり、全く動けなくなった。

こんな所で遭難か?

一瞬、焦ったが、15分位じっとしていたら激痛も治まり、再び歩けるようになったようだ。

ロープウェイの最終が、たしか4時半頃だったので、少しペースを上げる。時間が遅いので、もう周囲に人はいない。





そして雪渓のトラバースでは、今度は軽アイゼンを装着したので、行きの時よりも安定して渡ることができた。

3時10分、峠の避難小屋まで戻ってくる。

ここから茶臼岳まで50分と道標に書かれていた。ロープウェイ乗場まで行くのはかなり微妙である。
諦めて下ることも考えたが、やはり那須岳の主峰を外すわけにはいかないので、一か八か行ってみることにした。

そして茶臼岳へのガレの道を登り始めてしばらくすると、山頂駅からのアナウンスが繰り返し聞こえてきた。

「ロープウェイの最終出発時刻は4時20分です。これから茶臼岳へ登ろうとする方は乗車に間に合いません。ロープウェイに乗り遅れると、3時間かけて徒歩で下山していただきます。」

なんと!!
だが、全く聞こえないふりをして、写真も撮らずに無心で登った。





急いだ甲斐あって、3時45分に三角点まで辿り着いた。

噴火口は思ったよりも小さく、ここからは噴煙などは確認できず。時間が遅めなのですでに薄暗く、誰もいなかった。

本来は最高点の山頂まで行って、山頂を一周したかったけれど、ロープウェイ最終まで残り30分しかなく(トイレにも行きたい!)、取りあえず三角点を踏んだことで良しとして、早速下山開始。





登りのルートよりも、一般の観光客も登る下りのルートの方が急だった。
最後の方はなだらかになり、周囲に誰もいないので乗車して下った。





4時10分、山頂駅に到着。間に合った。
ロープウェイは、そのままの状態で自転車の持ち込みが可能。(もちろん輪行袋など持って行っていないが)

それにしても予想以上に雪がなかった…。来年のGWは、もう少し雪の多い所へ登りたい。(選ぶのが難しいけど)

おわり

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