■農鳥岳 MTB          ■自転車旅行記へ

●2012年10月6日(曇)

南アルプス農鳥岳へ行くため身延線の下部温泉駅まで行った。順調に目的地の駅に着くはずが、なんと到着直前に電車が臨時信号で止まり、時刻表より10分ほど遅れて到着した。何とかぎりぎり奈良田行きのバスに間に合ったが、もしバスを乗り損ねていたら、この時点で計画倒れになっていたかもしれない。次発のバス(何時間もあと)や自転車で行ったのではとても明るいうちに宿泊予定地まで辿り着かなったからだ。かといってタクシーを拾うほどの余分の金も持ち合わせていなかったので、電車が遅れた時は本当にヒヤヒヤした。こういうこともあるので、やはり現金は多めに持って行った方が吉であろう。


バスを終点まで乗っていたのは二人だけだった。終点の奈良田まで行くと、バス停の前にまで登山客のマイカーがあふれ返っていて、バスの運転手が近頃の登山客は非常識だといってキレていた。(わざわざ関係のない乗客の前でキレるのも非常識だが)

自転車を組み立てて走り出すとやがて奈良田第一発電所のトンネルが見えてきた。トンネルの前には見張り番がいる。5年前に北岳へ登った時は広河原から奈良田まで自転車で走ってこれたのだが、今はマイカーも自転車も通年通行禁止のようだ。

この通行禁止のトンネルには入らず、手前を左に折れた道を進むと農鳥岳への登山道となる。


吊橋を何度か渡って沢沿いの登山道を進む。

やがて大コモリ沢との分岐がぶつかり、登山道は沢を渡ってそのまま大門沢に沿っていくべきところを、踏み跡はなぜだか大コモリ沢に沿って続いている。やがて道が途絶えて明らかにルートを外したような様相になってくるが(左写真)、赤テープやケルンがそのまま続いているし、これまでに目立った分岐もなかったため間違いはなという確信もあって、そのまま進んでいった。

しかしGPSを見ると明らかに逸れていってるし、バスで一緒だった男性も同じところで迷ってうろうろしている。彼が来た道を戻っていったので、自分も後をついて戻ることにした。しばらくすると、彼が正しい分岐のところで待っていてくれたが、木にテープが巻いてあるものの分かりづらい場所であった。



正しい道に戻ってからも沢沿いの道は続き、丸太橋を渡って徒渉を繰り返す。長い丸太なので渡っていると結構しなって縦に揺れる。ロープが手すり代わりに張られているが、自転車を担いでいるので却って自転車に引っ掛かって邪魔になり、ロープを当てにせずバランスよく一気に渡りきった。


最後に沢から離れて急な坂を少し登り、夕方4時半に大門沢小屋に到着した。自転車を止めて受付をしていると小屋の主がやってきた。見てくれいかつい感じのオヤジだったので叱られるのかと思ったが、自転車でやってきたことに驚いている様子で、また後で写真を撮らせてくれとの言われた。

小屋はテント泊を除いて、宿泊者7名ほど。3連休は白根三山を北岳から縦走する人が多く、逆ルートとなる連休初日の大門沢小屋は宿泊者が少なかった。小屋の中では専ら、悪評高い農鳥小屋オヤジの話で盛り上がっていた。週間予報では二日目は晴れのはずが、夜から雨が降り続いた。隣の人のイビキが激烈にうるさくて浅い眠りだった。

【奈良田(12:43)〜林道終点(13:21)〜道迷い(14:12/14:42)〜大門沢小屋(16:27)】



2012年10月7日(雨)

沢が近くにある山小屋なので、一晩中水の音が聞こえていて雨と区別がつかなかった。起床直後、雨が止んでいるという会話が聞こえたが、出発する頃にはザザ降りだった。小屋を発った者のうち、農鳥に向けて登るのは自分を含め三名だけであった。

雨の中、合羽を着ながら自転車を担いで急な登りを登るという不快度指数100の行動を続ける。50m標高を上げる毎に小休止した。滝のように流れていた汗が体を冷やして寒く感じた。


標高2650mほどで森林限界となって視界が広がり、標高2800mで鐘のある稜線に出た(右写真)。この頃になると雨は止んで、濃い霧になっていた。反対側から、北岳から縦走してきたであろう多数の人とすれ違った。


登山道は稜線を東側に巻いていく道であったため、風はほとんどなかった(左写真)。やがてゴロゴロの石を急登する道になり、農鳥岳に到着した。

山頂は人が多かったが、ガスで何も見えなかった。風も強かったので、写真を撮ってパンを二個食してから山頂を後にした。西農鳥岳への道のりは高低差が多く険しそうだったし、戻る時間と日の短さも考えて行くのは止めにした。

その代わり、鞍部をはさんで反対側にある広河内岳へ行くことにした。こちらは高低差は少なかったが、稜線沿いの道なので風が強かった。山頂は誰もいなかった。


下りは登ってきた道を急降下する。自転車を担いだまま下るので、ヒザにかなり負担がきてヤバかった。行きよりも帰りの方が長く感じるくらいにヒザの痛みがひどく、後続から次々と抜かされた。

10時間ぶりにようやく小屋に戻ったら、案の定、相当な混雑ぶりであった。宿泊客だけで総勢40名くらいいただろうか。白根三山を縦走してきた人の話では、北岳と間ノ岳では昨日から昨晩にかけて初雪が降り、初冠雪があったそうだ。


【大門沢小屋(5:55)〜鞍部(9:40)〜農鳥岳(10:32/10:49)〜鞍部(11:30)〜広河内岳(12:03/12:10)〜鞍部(12:41)〜大門沢小屋(15:45)】


●2012年10月8日(晴)

翌朝は、昨日までとは打って変わって晴れ渡り、小屋から富士山が大きく見えた。こんなに晴れなくてもいいのに、これから下山する人間にしてみればまるで馬鹿にされた気分だ。小屋を出発する前、約束通り小屋の前で写真撮影する。オヤジからブログに載せるから見てくれと言われたが、すっかり忘れていて、これを書いている時点(11月中旬)でまだ見ていない。3連休の最後ということで下山する人が多かった。ほとんど人がいなくなった頃、自分も小屋を出発した。

前日のヒザの痛みは回復し、そこそこのペースで下ることができた。発電所の前にはやはり見張り番がヒマそうに立っていた。奈良田からの車道の下りが、山の谷間に沿った日の当らない道なので非常に寒く、カッパを着ていてもこごえながら走った。3時間近く走り、やっと下部温泉駅に着いた。

最後に下部温泉で温泉につかったが、3uくらいの浴槽に10人くらいのジイサン(70〜85歳位)が入っていて参った。湯もぬるく(40℃あるのか?と思うくらい)、皆かなりの長風呂であり、そのうち一斉に出るだろうと思って狭い浴槽につかりながら待っていたが、自分の方が先にのぼせて出た。まあ入浴料400円程度だったのであんまり文句は言うまい。

そこの温泉には食堂はなかったので、駅前の食堂にて名物『馬鹿丼』を注文したが、馬と鹿の肉が乗っているだけの丼であった。味はまあまあ良かったと思う(あまり覚えていない。腹が減りすぎていてじっくり味わう余裕がなかった)。大盛りがなかったのが残念。やはり、登山の最後は熱い温泉につかって好きなものを腹一杯食すのが理想である(自分は飲むより食う方が好き)。


【大門沢小屋(6:15)〜林道終点(8:17)〜下部温泉駅(11:00)】

農鳥岳GPSログ

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