■伯母子岳・護摩壇山 MTB          ■自転車旅行記へ

2010年7月17日(晴れ)

奥高野は紀伊半島のほぼ中央にあり、大峰の西側に位置している山域であるが、アプローチが不便で日帰りでは結構きつい。JR新今宮から南海電鉄に乗り換え、終点の極楽橋駅でケーブルカーに乗り継ぎ、3時間以上かかってようやく高野山駅に着いた。この高野山を起点に、野迫川温泉で一泊し、伯母子岳、護摩壇山、高野龍神スカイラインを通って時計回りに一周する計画を立てた。

初日は県道を使って温泉宿まで走るだけだが、途中で三角点峰のすぐそばを通るので寄ってみることにする。勾配の緩い舗装道を登り、標高1000mにさしかかると天狗木峠に着くが、ここにコンクリート舗装された「参道」(と朽ちた木の標識に古ぼけた墨字で書かれている)が分岐している。この参道をバイクを押しながら登る。やがて、40%以上の鬼勾配になる。(左写真)

15分かけて登り終えた所には古い祠が立っているが、人が来ているような形跡はほとんど無い。さらに茂みの奥に突っ込んでいくと、やがて展望の良い場所へと着いた。ここが陣ヶ峰の頂上だ。一等三角点ではあるが、およそ登山の対象とはなりえない山だ。早々に来た道を引き返す。下りもやはり、勾配が急なため押して下った。半ズボンのまま来たので、両足がダニの被害にあう。

小さな集落を二つばかり過ぎると、その先は何もない川沿いの道が延々と続いている。アドベンチャーランドという施設があり、牛・馬・ヤギ・イノシシなどの家畜がたくさん飼われている横を過ぎると、やがて登山口のある大股の集落へやって来る。そこから少し行きすぎた所が野迫川温泉で、予約していた宿に泊まる。

【高野山駅(11:15)〜天狗木峠(12:00)〜陣ヶ峰(12:15)〜大股集落(13:30)】


2010年7月18日(晴れ)

朝、宿を出る。この辺りの集落は犬を放し飼いにしているらしく、その様子を写真に収めようとした瞬間、唸り声をあげながらこちらへ飛びついてきた。左のふとももの前と後ろを二匹の犬に同時にかまれた。自転車に乗る前だったので、逃げる隙もなかった。飼い主が現れて犬を叱りつけると、ようやく足から離れたが、ズボンは破けてかまれたところから出血した。ズキズキとした痛みをこらえながら気を取り直して出発。

そのまま大股集落までやってきたが、再びここでも周辺の犬が一斉に吠える。嫌な予感がしつつも、集落の裏手にある急な坂道を息を切らしながら登っていると、後ろから放し飼いにされた犬が突然狂ったように吠えながら追いかけてきた。最後の力をふりしぼってペダルを回したが犬との距離は縮まる一方で、こりゃもうアカン!と諦めかけた瞬間、何かを思いだしたかのように狂犬はくるりと向きを変えて集落の方へ戻って行った。

登山道に入ってからもしばらくは後ろが気になった。ようやく落ち着いたが、二度とこの集落には近寄るまいと思った。
この写真を撮影してから5秒後にかまれる。

登山道はよく整備されている。途中、登山道から外れて細い踏み跡を辿り、夏虫山のピークに立ち寄る。伯母子岳よりも標高が高いにもかかわらず、半ば藪山化しており、山頂は展望に恵まれず、名前通りに虫が多いので即刻立ち去る。

稜線へ上がり伯母子岳の山頂に出ると、突然展望が拡がる。まだ時間も早いので、独り占めの山頂だ。

伯母子岳から続く縦走路も幅の広い整備された遊歩道で、ところどころ現れる急坂の登りを除けば、ほとんど乗車したまま進んでいける。途中で、対面からやって来る1台のオフロードバイクとすれ違う。どこまで進むつもりだろうか?さすがに伯母子岳までは無理のような気がしたが、その後一向に戻って来なかったので伯母子峠を越えて通りぬけて行ったのかも知れない。

遊歩道は口千丈山という三角点を通過するが、単なる遊歩道の途中でありピークという感じはしない。

遊歩道が終わり、立派な舗装路へ飛び出る。この舗装路は十津川村の下の集落からずっと延びている『奥千丈林道』で、このまま高野龍神スカイラインまで続いている。そのまま進めば、あっけなく護摩壇山まで導かれるが、それだけでは面白くないので、今回は三角点探訪という別の目的を用意した。

まずは標高1309mの古畑山であるが、地形図でルートが点線で示されている通りに舗装路のわきから踏み跡が延びており、難なく辿り着いた。そのまま踏み跡を直進すれば、再び奥千丈林道に合流する。

この奥千丈林道から眺める護摩壇山は素晴らしい。車もほとんど通らないので、サイクリング(≠山岳サイクリング)にはぴったりだ。

続いて標高1278mで地形図にも山名記載なしのピークで、三角点の点名は『中峰』。こちらは地形図に道すら示されていないが、林道のすぐ脇にあるので取り付きがないか探しながら徐行して走っていると、写真のような貧弱な木のハシゴを発見。ハシゴを登って藪を少し掻き分けると三角点があり、「点名 中峯」と記されたプレートもあった。こんな車道近くの三角点にですら訪れる人がいるようだ。

その後、高野龍神スカイラインに合流し、護摩壇山に向かう。山頂入口の施設には無数の単車が駐車してあり、ライダーの溜まり場となっている。そこからジャリ道を押していけば、護摩壇山の山頂。ここにはライダーはいないが、上半身裸体の中学生がボクシング練習の真似事をしていた。それ以外に特筆すべきことは何もなし。

高野龍神スカイラインに戻り、そのまま北上。左手の赤テープがぶら下がっている踏み跡から取り付き、しばらく北上して白口峰の三角点に至る。ほとんど人が踏み入れておらず、少々薮っぽい。その後、右に折れるべきところを直進してしまい、西へ延びる尾根(地形図で点線の道)を下ってしまう。いつまでたっても道路に戻らないので不審に思い、やっと気付いて戻る。今回はこの山が一番疲れた。

箕峠を越え、今度は右手に1079.7mの三角点が接近するが、これはパス。最後に、同じく右手に1180.3mの三角点(点名『檜股』)がある。これは名前もないピークだが、山頂に天体観測用の展望台があり、車道が延びているので難なく行ける。

このような林道わきの三角点はつまらないピークが多いので、下調べは全くせずに探索気分で行くまでの過程を楽しむのが丁度いい。

高野山まで戻ってきて一周したわけだが、そこから更に土砂崩れの区間を経て極楽橋まで下り、廃屋などが並ぶ薄暗い谷間の道をくぐり抜けて橋本まで走って終了とした。

犬にかまれた部分は治るまで一週間かかった。半年たった今でも、まだあざがくっきりと残っている。

  『伯母子岳へ登る人は、決して大股から登らない(へ下りない)ようにしよう。』

【大股集落(6:55)〜檜峠(8:30)〜夏虫山(9:00)〜伯母子岳(9:55/10:10)〜口千丈山(11:07/11:12)〜奥千丈林道(舗装路)に合流(11:30)〜古畑山(11:55)〜△中峰(12:22)〜護摩壇山(12:45)〜白口峰(13:20)〜道間違いにより白口峰に戻る(13:35)〜(14:15/14:40)〜△檜股(15:00)〜高野山(15:45)〜橋本駅(17:00)】

inserted by FC2 system