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黄色は林道(車道)、は山道を示す


●2016年11月26日


※登山口までのアプローチ
 JR 京都(7:59)~日吉(9:01)、南丹市バス 日吉(9:05)~知見口(9:57)

この山を選んだのは、未踏の京都府内三角点(入山規制のある芦生研究林内を除く)のうち最も標高が高いからであり、800m級の三角点は今回めざすオクノタンと高庵山(頭巾山の南側にある)を残すのみとなった。しかし、マイナーな山であり登山記録はほとんど出てこない。山と高原地図においても破線すら引かれていない。少し調べてみると、以前は壮絶な薮山だったそうだが今は笹枯れにより歩きやすくなっており、林道によるアプローチも可能なようだ。というわけで、今回はツベタ谷沿いの未舗装林道から入山し、オクノタン、中山谷山と二つの三角点を経て五波峠へ至る周回コースを辿ることにした。



美山町 かやぶきの里


天気は晴のち雨で、雨は夜からとの予報だったので、荷物軽量化のために雨具は持っていかないことにした。JRで日吉まで向かう。亀岡から先は深い霧で視界がほとんどない。日吉駅から知見口までバス輪行。バスの中は、かやぶきの里へ行く中国人旅行客で満席。バスは音声の案内がなく、下車する予定だった知見口を通り過ぎて自然文化村まで行ってしまった。こんな所で降りる人がほとんどいないということだろう。

バス停を降りてMTBを組み立てて走り始める。霧はほとんど消えて晴れていた。五波峠へ分岐する道を少し進むと、右手にいかにも使われていなさそうな鬱蒼とした未舗装林道が延びている。

10時40分、「林道芦谷線」と書かれた標識の立つこの林道を入って行く。




芦谷林道の分岐


予想通りに林道はあれあれの様子。入口が封鎖されていないにもかかわらず、全く車両が通ったような形跡もない。





軽トラ1台分しかない道幅の中央に高さ4mほどの雑灌木が生えていて、長年放置されている様子がわかる。

まさに、廃林道といっていいだろう。





濃い獣臭のする林道だ。

ところどころ現れる崩落箇所は自転車を担いで通過する。





日が照り始めて結構暑くなってきた。

そのまま林道の折り返しに気づかず、危険な沢沿いの踏み跡に迷い込んでしまう。
いつまでたっても谷筋から離れず尾根からどんどん遠ざかり、おかしいと気付いたのはかなり進んでしまってからだ。足元に気を取られてGPSを見ている余裕が全くなかった。



林道のスイッチバック


再び足元に注意しながら来た道を戻ると、ヘアピンカーブが現れて一安心。反対方向から歩いてきた時は、林道と同じ幅でまっすぐ延びているのでこのスイッチバックに全く気付かなかった。林道に復帰し、そのまま尾根にそって進む。

12時15分、林道はオクノタンと中山谷山をむすぶ主尾根上の独標743mに乗りあがり、右へ折れて少し進んだ所で行き止まりとなる。ここで邪魔なペダルを外す。



林道終点


その先は原生林の道なき尾根が延びている。

尾根筋には鹿よけネットが張り巡らされているものの、朽ちていてほとんど倒されているため歩くのに障害にはならなかった。また、構えていたほどの藪はなく、かつては壮絶な笹藪に阻まれたであろうことなど予想すらできなかった。15年ほど前に芦生を含む一帯で起きた笹枯れ現象が原因となっているようだ。






12時50分、オクノタンに着く。三等三角点が鎮座しており、標識の類は一切外されていて、落ち着き払った頂上だ。
周囲の枯木の隙間から遠くが見渡せるが、360度似たような標高の山々に囲まれているのが分かる。



オクノタン(811m)


山頂から約15分で元のp743へ戻り、さらに北上して中山谷山方面へ向かう。

ここから中山谷山までは非常に心地よい水平な尾根が続いている。縦走中も誰にも会わない。
アプローチが不便すぎるせいか誰も登っていないのだろう。まさに自転車の恩恵が最大限に受けられるコースだ。





13時50分、p766を通過する。

芦生研究林を管理する「京都大学」の標石があり、ここを左に折れる。



p766


しばらく行くと、半径2mほどのヌタ場が現れた。しかし、動物の気配は全く感じない。





枯れ木立に囲まれていて風がよく通り、かなり寒くなってきた。





14時20分、中山谷山に到着。角の欠けた三角点がある。



中山谷山(792m)


やはり山名プレートの類は一切掲げられていない。
確かに、デカデカと山名が書かれた仰々しいプレートはこのような奥山には似つかわしくない。三角点があるだけで十分である。





と思ったら、こんな所に山名が刻まれていた。一体、いつごろ彫られたものだろうか。かなり古そうである。
何年も前に登った会津駒ヶ岳の登山道で、ブナの幹にことごとく落書きがされていたのを思い出した。

晴れてはいるが非常に寒い。中山谷山から五波峠へは下り道であり、パーカーと軍手を装着して再出発。
ここから先は乗車して下っていけそうなので、ペダルを装着する。





植生が葉をつけた桧に変わり、風が止まって静謐に包まれる。獣の気配さえない。






やがて福井との府県境である若丹国境尾根に合流し、乗車しながら順調に下って行くと、右手下方に林道が延びている。最近つけられた道のようでキャタピラーの跡がついていてぬかるんでいるため、通行するのはやめて尾根筋の方を進んだ。この林道は五波峠へは通じていないようで、この林道に気をとられていると、危うく最後の尾根の分岐を気付かずに通り過ぎてしまう。

すぐに気づいて軌道修正し、さらに乗車して下るとすぐに五波峠に着いた。時刻はちょうど15時。



五波峠


全線舗装で開通中にもかかわらず、いつ来ても全く交通量のない峠である。自分が学生だった頃はたしか全線ダート路だったような気がする。(記憶が曖昧…、堀越峠と勘違いしているかもしれない)

この五波峠を京都側へ下り、再び府道38号をやってきたのとは逆方向へ走り続け、バスに追いつかれる頃合いを見計らって宮脇バスロータリーにて輪行し、園部駅行きのバスに乗せて帰った。



オクノタンを振り返る


五波峠の反対側にある八ヶ峰を含め、この付近はMTBにとっては地形的にかなり走りやすい尾根が続いている。
特に今回のコースは登山者も少なく(ほぼいないといっていい)ので、かなりお薦めである。
田歌から五波峠、中山谷山、p743、芦谷林道と逆に周回すると、ダートの林道を下れるのでより楽しめるかもしれない。
アプローチさえ何とかできれば、の話だが…。

おわり

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