■大御影山 MTB          ■自転車旅行記へ

2011年6月4日(晴)

豪雪地帯の山なので本来は積雪期に登ってみたいが、とにかく林道のアプローチが長すぎるので積雪期の日帰りは到底無理だ。林道が使える無雪期であれば、粟柄河内谷林道〜大御影山〜大日岳〜天増川林道という周回プランが可能である。大日岳からさらに三十三間山へと縦走することも可能であるが、この山は冬に登りたいので今回は外すことにした。

少しでもアプローチを短縮したい場合、バス輪行という手段がある。ところが、近江今津駅と小浜駅を結ぶ
西日本JRバスはホームページ上で規定が細かく定められていて、自転車(折り畳み含む)の持込不可とはっきり断っている。2年前も、小浜駅から今津行きのJRバスに乗れるか尋ねようとしたら、猛烈な勢いで断られたことがある。バスの中は十分広そうだし乗客もほとんどいないので勿体ない事だと思っていると、you tubeに同区間をMTB輪行している動画を発見した(車内から撮った10秒ほどの映像。しかし、わざわざそんなものアップするとは…)。また、西日本JRバスに対して抗議のメールを送っている輩までいた。これに勇気づけられて実際やってみたら、何も言われることなく難なく持ち込めた(他の乗客は1名のみ)。ここ数年で俄かに輪行が世間に浸透してきたように思う。

近江角川で途中下車。これで10km余りを短縮できたが、まだ登山口まで16km(標高差600m)もある。角川集落から先は車一台とすらすれ違うことなく石田川ダムを過ぎ、河内谷と処女湖との分岐点までやって来た。ここまでは舗装路であったが、ここから河内谷に沿う未舗装の林道(粟柄河内谷林道)を進む。

林道を入ったところで、さっそく四駆車が深いぬかるみにはまって身動きできなくなっているのを目撃。泥の中でもがいたらしく車体の1/3が埋まっている無残な状態だった。若者二人が必死で泥を手ですくいあげようと焦っていたが、無事に日が暮れるまで脱出できたのだろうか?知る術はない。

そこから2キロほど進むと、錠のかかったゲートが出現した。どのみち、車での通過は無理だったみたいだ。

ゲートを越えてからも、ところどころ倒木や土砂崩れが邪魔しているが、チャリンコでは別に支障ない。廃道というほどのものでもないし、勾配はゆるくて路面も粗くはないので、ずっと乗車したまま進んでいける。(と書いたが、標高700mぐらいからは押して歩いた)


林道で出会ったタヌキ(最初、小熊かと思った)。今回、山の中に5時間潜入していて出会えた哺乳類はこの一匹だけだった。

近づいてみると、驚いて逃げる様子でもなくノコノコと歩いて茂みの中へ消えて行った。


林道を1時間半走る(歩く)と登山口に着いた。高島トレイルの立派な道しるべがあるので、まず迷わない。

やがて県境尾根と合流する。登り調子なので、自転車はほとんど押して歩く。ところどころ道が凹状になっているので、持ち上げたりする程度。

登山口から1時間足らずで難なく大御影山山頂に着いた。平坦なピークで少し切り開かれていて、大きな手書きの看板が立っている。落ちつく場所なので、三角点に座ってゆっくり休憩した。


大御影山〜大日岳にかけて、ブナ林の尾根を行く。

大きな登り返しが一箇所あるのを除けば下り基調となるため、ほとんど乗車できる。勾配もそれほど急なところはなく、初級者でも十分楽しめるMTB向きのコースとしてお薦めしたい。清流沿いを行く粟柄河内谷林道、天増川林道を含め、本当に魅力あるコースである。ただ、遠いというのが難点だ。遠いがゆえに人が少なく、それがまた魅力ではあるのだが。


高い乗車率のおかげで、コースタイムを半分に短縮。大御影山から僅か1時間余りで大日岳の山頂を過ぎ、さらに15分下って電波塔跡と呼ばれるだだっ広い広場へひょっこりと出た。この広場からは天増川に沿った林道が延びており、4時間ぶりに山から抜けだしたことになる。

広場で腰を下ろし、蚊取線香をしまおうとザックを降ろして異常な事態に気がついた。

ザックの後ろにくくりつけていた輪行袋が無くなっているのだ。どうやら下りで調子乗りすぎて飛ばしてしまったために、振動でどこかに落っことしてしまったようだ。もっとしっかり括りつけておくべきだった。8000円もしたのに…いや、問題は値段ではない。輪行袋がないと、電車に乗って帰ることができず、自宅まで自走して帰らなければならないのだ。これは災難である。取りあえず林道を下ることにした。


未舗装の林道が延々と天増川に沿って続く。天増川は透明度の高い澄んだ川で、この時期は渓流釣りを楽しむ人で賑わっていそうな雰囲気だ。ところが釣り人は一人もいなかった。こちらも林道入口にワイヤーが張ってあり、一般車輌が通れなくしてあったからだ。

また、下流に行くほど土砂崩れや路盤・路肩崩れが頻発していて、その度に自転車を持ち上げて通過した。林道は集落に出る最後の最後まで未舗装で、とにかく長かった(全長12km)。

さて、帰りの足についてだが、さすがに7時間山の中を走った後で、今津から京都までの長距離を走る気になれない。

ここは、今までやったことも見たこともない
ゴミ袋輪行を初めて試してみることにした。

まず国道161号バイパスで安曇川まで走り、駅近くにあるホームセンター「アヤハディオ」でゴミ袋を購入する(90リットル×45ミクロン×10枚セットで400円程度)。そして駅で自転車をばらす。ホイールとフレームを固定する三本締めのヒモも輪行袋と一緒に失くしてしまったので、車道で拾ったトラロープの切れはし2本を用いて縛る。あとはゴミ袋2枚をそれぞれ前からと後ろから被せてやり、ロープの余った部分を貫通させて、取っ手として掴めるようにしてやれば完成。ゴミ袋とロープ以外は、テープも何も要らない。

この通り。全く違和感なし。厚さ45ミクロンもあれば強度的にも全然心配なく、改札も全く普通に通過できた。あまりの簡単さにこれから毎回ゴミ袋輪行をしようと思ったほどだ(やらないが)。ただし、車内での不審物を見るような視線には少々堪えなければならない。

全行程65km。さすがに次の日は筋肉痛になった。


【近江角川(7:45)〜粟柄河内谷林道始点(8:45)〜登山口(10:15/10:30)〜大御影山(11:20/11:50)〜分水嶺と県境の分岐(12:35/12:40)〜大日岳(13:05)〜電波塔跡・天増川林道終点(13:15)〜天増川林道始点(14:30)〜近江今津駅(15:45)】


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