■竜門岳 MTB          ■自転車旅行記へ




黄色は林道、は山道を示す

●2015年9月12日(晴)


なぜ三百名山なのか理解不能と言われるほど評判の悪い山である。確かに、三百名山であるにもかかわらず関西百名山にも選定されていないし、奈良県の分県登山ガイド(山渓)にも紹介されていない。尾根続きである北方の熊ヶ岳~音羽山には3年前に行ったが、暗くて殺風景な感じの薮山だった。多分、ここもそんなに変わらないのだろう。

運よく天気は快晴だった。10時に近鉄の大和上市駅を出発する。登山口の吉野山口神社に向かう。神社までの道のりはGPSがないと分かりにくい。神社から先はずっと川に沿って続く一本道の暗い林道で、やがて未舗装になる。この山の唯一の見所が竜門滝であるが、実際に林道から見下ろすと小さな滝で、専用の歩道も延びていたがわざわざ下って行って見ようとまでは思わなかった。

標高450mくらいで未舗装林道から徐々に登山道っぽくなってくる。やがて登山道は沢と合流。徒渉する場面もある。道はそれなりに踏まれているようで、荒れたり危険に感じたりする所は無かった。


  


標高600m地点で尾根に取付く。結構急な尾根道が山頂まで続く。急なのでMTBを始終担ぎっぱなしになるのはいいにしても、頭上に藪がおおいかぶさっているため、担いだ自転車の角度を調整しながら登るのが結構面倒だった。もともと薮だらけだったところに無理やり道を通したからだろうか、藪のトンネルみたいになっている。木陰とはいえ風通しが全くないので快適ではない。





尾根の中間部には杉の植林帯がある。植生が変わっても一定の急勾配は変わらず、休憩にちょうど良いスペースもないため狭い場所で休憩せざるを得ない。息が上がって耐えられなくなってようやく休憩、といったことを繰り返す。





12時に山頂に着く。予定よりもずいぶん早く着いた。祠と三角点があり、無論展望は皆無である。三角点は一等だった。自分以外には中年男性二人(それぞれ単独)が休憩をしていた。三人で無言の昼食をしていると、いきなりバサッという轟音が響く。振り向くと、鳶に食糧を奪われて呆然としている男性の姿があった。自分は薄皮チョコパンを袋ごと手に持って食していたので襲撃されずに済んだ。





12時10分、反対側へ下山開始する。急な下りを除けば、乗車率の高いMTB向きの道だった。しばらく行くと、反射板のある鉄塔が二ヶ所連続する。どちらも開けているが、二つめの方が眺めがいい。その後も乗車しながら下り、気がつけば知らないうちに三津峠を過ぎて、荒れた簡易舗装の林道になっていた。林道は勾配が急で水が流れて川のようになっており、MTBを押して下った。





やがて県道の旧道に出る。帰りは桜井市方面へ抜けるためこの旧道を登り返していくが、簡易舗装の急勾配がトンネルまで続く。距離は短く500m位しかないが、勾配が20%位あるので結構厳しい。なんとか足をつかずに乗車したまま登り切る。トンネルは地元の心霊スポットとして取り上げられているだけあって、古くて照明が少なくて不気味である。雰囲気を楽しむためライトは点けないで走行したが、自転車用のLEDでは点けても大差なかっただろう。旧道は閉鎖されていないものの交通量は皆無だった。





幽霊トンネルを抜けると下り坂になる。そのまま新道と合流してしばらく行くと、突然左側からもの凄い勢いで大勢の犬の吠える声が聞こえてきた。何だろうと思って自転車を止めて振り向くと、広い資材置場の中でほとんど野犬と化した何十匹もの犬が放し飼いにされていて、数匹がこっちを向いて一斉に吠え立てている。無視して先へ進もうとしたが、背中を向けた途端に二匹が急に道路に飛び出してきて追いかけてきた。最初はびっくりして逃げようとしたが、奴らは逃げると余計に追いかけてくる習性がある。少し距離を保ってから自転車を持ち上げて威嚇してやったら、畜生共は急に勢いが弱くなりやがて尻を向けて退散していった。まさに負け犬の遠吠えである。下りだったからまだ良かったものの、上りだったら威嚇する余裕などなく噛まれていたかも知れないと思うと飼い主の責任は重大だ。自分は犬に噛まれたことがあるので、いくら番犬であれ山奥であれ放し飼いは絶対に許せない。よく見れば、追いかけてきたうちの一匹は前足の一本がない。大型トラックが高速で激しく往来しているのにお構いなしで飛び出してきているから、今まで何度も車とぶつかっているのだろう。飼い主もきっと畜生かそれ以下のチンピラに違いない。飼い主もろとも愛護センター送りにすべきである。





無駄な時間を費やしてしまったが、1時半には近鉄桜井駅に到着して輪行して帰った。

山の感想としては、まあ確かに三百名山にしては地味であるが、思ったほどの薮山ではなかったしMTB乗車率も高めで予想していたよりは楽しかった。我が地元にも同じ位の標高で山頂に巨大な宗教施設があるだけの三百名山があるし、それよりは全然マシかなと思う。

おわり

inserted by FC2 system