■サクラグチ・能登ヶ峰 MTB          ■自転車旅行記へ

●2009年12月13日

鈴鹿主稜線上の宮指路岳から西に派生する長大な尾根の最高峰がサクラグチである。最初はこのサクラグチのみを登る予定でいた。

JR貴生川駅から甲賀市コミュニティバスに乗る。乗客は自分一人。終点近くの近江鮎河まで20kmもの長距離を走り、運賃たったの250円。なんと良心的なのだろう(運営大丈夫か心配)。

林道入口は集落に紛れて少し分かりにくい。入口すぐの所でゲートが閉まっているが、獣除けのためのものなので手で錠を空けることができる。ダートの林道を進んでいくと、1/25000地形図の破線の位置の所にも道らしきものが延びているが、今回は林道終点から分け入る。ここはどちらから入っても大差ないだろう。

すぐに破線道と合流。尾根に沿って金網フェンスが延々と続いている。ところがすぐに倒木の積み重なった崩壊地に行き当り、迂回した先が猛烈なヤブの急斜面で困難を極める。草も木も鋭いトゲが無数に生えていて、無言の警告を発している。尾根に戻った時はほっとした。

この後も踏み跡は薄れてほとんど消えているが、基本はまばらな植林地なので、地形と方向を頼りに進んでいける。狩猟の銃声が近くで響いている以外は全く静かだ。やがて木々の間から北側の景色(西山・政子)が見えるようになる。展望の全くない山だと思っていたが、ところどころで好展望を見せる。P789では南側に長大な能登ヶ峰北尾根とその向こうの仙ヶ岳が見え、P891の西峰では北側正面に綿向山が望めた。

この山は山頂まで植林がされているようだ。サクラグチ山頂は木に囲われて展望はなく、三角点がポツリとあるだけの静かな場所だ。三角点は近年設置されたものだ。食事をとった後、山頂の東側に延びる尾根の様子を見る。山頂のすぐ東に大きなヌタ場がある。予定では、このまま北の尾根をたどって深山橋に下山するつもりだったが、時計を見るとまだ11時半。時間切れになるかもしれないが、能登ヶ峰までのU字尾根を行けるところまで行くことにした。いざとなれば、エスケープルートとしてウグイ川林道、猪足谷林道、田村川林道等へ降りられそうだというのもあった。

25分ほど進むと、南側が大きくガレている尾根の分岐点へやってくる。ちょうどここから、仙ヶ岳を中心とした鈴鹿南部の山々を見渡すことができる。尾根はここで北東へ折れる。横谷山付近までくると灌木が茂り進みづらくなる。サクラグチから約1時間で横谷山に着いた。

ここから道は一層不明瞭になり、薮の中を進んでいく場面も多く、相当悩まされた。伐採された木が積み重なったりして、山自体がかなり荒れている。こんな状態で急斜面を標高差200メートルも下る。

その後も展望のない尾根が続く。距離も長いので、正直苦痛であった。P696の手前のP798はピークを左側へ巻いたが、ここも道が分かりづらく強引に急斜面に取り付いた。ここを登りきってP696のあたりまでくると、やっと展望が開けた場所に出る。東側には仙ヶ岳が間近に見え、さらにしばらく進むと、北側にこれまで進んできた周回尾根を振り返ることができる。

そして急に巨大なササ原の丘陵地が目の前に開ける。と同時に、2頭の鹿がこちらを見て素早く奥の方へ走り逃げていった。後で知ったのだが、ここは「鹿の楽園」と呼ぶらしく、今回のコースのハイライトであった。横谷山から2時間以上かかったが、ここまで来た甲斐があったというものだ。

ここから能登ヶ峰までは15分ほどで着いた。能登ヶ峰山頂は、植林に囲まれた薄暗いピークで、切り倒された杉の木が散らばっている。ここから鮎河登山道を下っていったが、ここも予想以上に不明瞭な道だった。最後は林道の途中に出て、7時間ぶりに山の中から抜け出た。この間、誰とも遭遇しなかった。銃声を20発ぐらい聞いたのと、鹿二頭に出くわしたのみであり、理想的な静かな山登りができた。



「カシミール3D」及びGPSトラックデータにより作成

【近江鮎河(8:30)〜鮎河林道終点(8:45)〜p789(10:10)〜p891(10:50)〜サクラグチ(11:10/11:30)〜横谷山(12:30)〜p696(14:25)〜能登ヶ峰(15:05/15:20)〜鮎河登山道林道出合(15:45)〜県道(15:55)】

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