■白馬岳 MTB ■自転車旅行記へ |
ただ、自転車を輪行してでもゴンドラに乗せて貰えるかという不安があった。石鎚山の時は事前に電話で問合せしてOKを貰っていたが、どうも調べたところ栂池パノラマウェイは入山管理が厳しいみたいで、問合せしたら断られそうだったのでさりげなく行ってみることにした。 |
初日は、ロープウェイを降りた所にある栂池ヒュッテに宿泊する。輪行していた自転車を組み立てるが、周りはスキーヤーやボーダーだらけなので明らかに浮いている。寝室はカーテンで仕切られた二段ベッドの置かれた半個室の相部屋だが、どちらかといえば山小屋というよりホテルという感じで、初日は贅沢に過ごす。 |
この日は白馬山荘までの長い道のりなので、ヒュッテを5時前に出発する。自分以外にも何人かの縦走者がいるはずだが、まだ誰も出ていないみたいだった。 |
一面雪に覆われた天狗原に出る。目の前に乗鞍岳が横に長く聳えていて、どこがピークなのか分からない。 |
乗鞍岳
乗鞍岳から白馬大池まではなだらかな下り坂なので乗車して下る。 |
斜面を登って稜線に出ると新潟側からの継続的な強風となった。 |
三国境
三国境を過ぎてから白馬岳に至るまでに、急な雪壁状の登りが二箇所ある。たまたま風が弱かったので無事通過できたが、こんなところで突風に吹かれたらたまったもんではない。 |
白馬岳山頂
白馬山荘で宿泊の受付をした。まだ午前中で、予定よりずいぶん早く着いてしまったが、残りは小屋の中で過ごすことにした。4月30日に2人の死者と1人の行方不明者を出した大雪渓での雪崩の直後ということもあり、GWにしては宿泊者は圧倒的に少なく10名程しかいなかった。 【栂池平(5:00)〜天狗原(5:55)〜乗鞍岳(6:55)〜白馬大池(7:10/7:25)〜p2612(8:20)〜小蓮華山(9:10/9:15)〜三国境(10:20)〜白馬岳(11:20/11:25)〜白馬山荘(11:35)】
●2011年5月5日(晴)
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この日は杓子岳、鑓ヶ岳、旭岳の三山をピークハントして、白馬山荘に戻ってもう一泊するという予定でいた。 |
白馬岳を振り返ると険しい主稜が鋭く切れ落ちている。この角度から見る白馬岳が一番迫力がある。その向こう側の平坦なピークが昨日通過した小蓮華山、手前が明日下る予定の大雪渓ルートである。 |
杓子岳
その先、白馬鑓ヶ岳との鞍部手前から急斜面のトラバース道となっていて、雪もまだ氷のように固く、まともなトレースもない(アイゼンの爪痕があるだけ)。重い自転車を担いだ状態では足元のバランスをとるのが難しく、斜面が徐々に急になってきて次の一歩も踏み出せない状態になり、これ以上進めないと判断して戻ることにした。 |
これで完全に意気消沈。三つめの旭岳も自転車を担いだ状態では下りが危険、ということで途中まで登ったところで登頂を断念した。(右写真が断念ポイント) |
ふと、こんな状態で明日大雪渓を下ることができるのかという懸念が浮かび上がる。それで、白馬山荘に戻る前に、自転車をその辺にデポしておいて、偵察がてら空荷で大雪渓を途中まで降りてみることにした。 大雪渓は想像していた以上に急な坂道で、標高200mほど下がってみたが、その先はさらに傾斜が落ちているため前方が見えなくなっている。登り返しが面倒なのでそこまでは行かずに引き返したが、もう決断はできていた。自転車を担いだ状態ではとても無理だ、諦めて栂池へのルートを引き返そう。 |
この日の宿泊者も少なく、11名だった。スキー7人、ボード1人、登山2人、自転車1人。道中で見かけたスタイルの比率も、自転車を除けばこんな感じだった。
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いろいろと思案した結果、ホイールのみをザックの後ろに担ぎ、サドルとペダルを外して軽くしたフレームを首に下げて運ぶというスタイルに決めた。こうすればバランスもさほど悪くないし、両手が空くためピッケルも自由に使える。八ヶ岳、富士山、剱、大キレットでも自転車を背負ったが、フレームごと背負っていたのでバランスは悪かったし、特に下りで車体を地面にぶつけることが多いので後ろ向きに下る場面が多かった。今回はその点を改善した。 |
葱平(ねぶかっぴら)と呼ばれる部分が最も急な坂道で、夏は雪渓も途切れて階段状の道が整備されているらしいが、残雪期にあっては雪面を直降することになる。 |
デブリを避けながら勾配の緩くなった雪渓を下っていくと、標高2000m辺りの遺体発見現場に4本のスコップが束ねられて遭難碑のように立っている。ここから上を見上げると、事故以後に生じたと思われる二号雪渓からの雪崩も同じ場所へ流れ込んでいて、この辺りが一番の危険地帯であることが分かる。通常は大雪渓の雪崩は4月中に治まるものらしいが、今年は残雪が多いこと、荒れた天気が続き1m程の降雪があった直後であったこと、夕刻という時刻などが災いしたと考えられる。 |
そこから先は勾配が15度前後となり、標高1800m以下で乗車に適した斜面になる。しかしもう時間が9時を過ぎていて雪がやわらかくなり始め、やがて前輪が潜ってしまうようになった。白馬尻から猿倉荘まではほとんど乗車できず、バイクを押して歩いた。もし雪がもっと固ければ標高1800m以下での乗車率は100%近かっただろう。 |
【白馬山荘(6:55)〜葱平ALT2400(7:35)〜大雪渓ALT2000(9:00/9:20)〜白馬尻(9:55)〜猿倉荘(10:40)〜白馬駅(11:20)】 |
カシミール3Dにより作成 |