■ソノド MTB ■自転車旅行記へ
●2012年10月27日(晴)
ヒルがいなくなる時期になったので、今年初の鈴鹿へ行って来た。鈴鹿北部の奥深くにある秘峰、ソノドをピークハントするのが目的である。もうひとつの目的は、霊仙山とソノドの鞍部(薮原峠)越しに延びている地形図にない林道の探索である。ソノドは遠い場所(鈴鹿でも珍しい岐阜県側)にあるのでアプローチに迷ったが、霊仙山に行くための登山道が滋賀県のJR柏原駅から延びているので途中まではこれを利用し、途中からはその林道をソノドまでのアプローチに使い、帰りは林道を利用してふもとまで一気に下るという計画を立てた。
柏原駅を降りて走り出す。高速道路の高架下を過ぎた所にパトカーが一台。警官がやってきて遭難防止を呼びかけるチラシを配られた。行先も聞かれず、登山届のポストが近くにあるのに書いていけとも言われない。しかもこの登山道を使う人など一日に何人もいないのに、朝からずっと立っているのだろうか。チラシはズボンのポケットに入れてたが、しばらくしたら汗でクチャクチャになってしまった。 |
ちょうど谷筋と尾根がぶつかる所までやってくると、大杉が二本立っている。樹齢何百年くらいあろうか。 ここから先は明るく快適な尾根道である。あまり人が通る道ではないらしく、鈴鹿らしい雰囲気がよく残っている。 その先、昭文社の地図で「展望が良い」と書いてある三合目辺りは全く展望がなく、避難小屋のあるp772(米原市・関ヶ原町・大垣市の境)は伊吹山方面の展望が良かった。 |
そしてp773を少し過ぎた辺りで、左手に「ここは獣道です」と書かれた札が枝に垂れ下がっていてロープが張られている箇所があり、その先を見るとすぐ近くに林道が通っている。この間は登山道ではないから通り抜けるなということであろうか。札の意味は良く分からなかったが、とりあえずロープをくぐって30mほど下れば林道に出た。 |
林道は高度が高くて尾根に近い場所を走るので開放感に優れている。ただし、所々崩落しているので車は通行できない状態にある。ゆるやかなアップダウンを繰り返す未舗装の道だが、路面が粗い場所もあるので全て乗車するのはしんどい。急な登りは押して歩いた。林道は何ヶ所か分岐があるが、薮谷峠の分岐まで来たところで、本来ならば鹿除けネットをくぐって分岐道を進まなければいけないところを直進してしまい、しばらくして気がついて林道を登り返した。
薮谷峠といっても昔ながらの峠は林道に潰されて跡形もない様子で、単なる林道の分岐点になっている。ここから谷山三角点に登るルートを探したが、どこをどう取り付いても奥は薮が密集していて人間が入る隙間がないように見えたので、帰り際に別の取付きを探すことにして、とりあえず先に進むことにした。
薮谷峠から東に延びる林道は、幾里山の山腹を巻いてソノドとの鞍部近くまで延びていた。その林道終点からジグザグにつけられた道を伝って稜線に出ると、視界が開けていて霊仙山を中心に雄大な景色が広がっている。山肌には林道の跡がくっきりと刻まれている。
しばらく稜線上を進むと伐採地から一変、踏み跡もテープもない美しい雑木林の尾根は、自然との一体感を感じさせてくれる。 |
ここまではどちらかといえば楽勝モード。問題は帰り道。
さて来た道を戻るわけだが、薮谷峠までは往路の林道を利用せず、稜線伝いに「幾里山」をピークハントして行くことにした。この「幾里山」というのは地形図に名のある山でも三角点でもなく、ネット上で調べて初めて知ったものである。(左写真が幾里山) |
戻るべきかどうか悩んだが、とにかく幾里山の山頂まで行ってしまえば、反対側はなだらかなのでしっかりした踏み跡があるだろうと考えて前へ進むことにした。ネットフェンスのポールが所々折れているので、場合によってはネットを右へ左へまたぎながら、茨が少ないと思われる方を選んで歩いて行く。そして幾里山に到着。
幾利山
ところが幾里山は、事前の情報で得た「鹿あそび」と呼ばれるような美しい光景は全くなく(能登ヶ峰の「鹿の楽園」のような広場を想像していた)、ピークもどこだかはっきりしないただの荒れた薮山でしかなかった。落ちついて休憩するような場所もなく、ネットフェンスは山頂をまたいで延々と続いているが雪の重みでポールが無残に折れ曲がっていた。林道工事や植林のための伐採により、「鹿あそび」は変わり果てた姿になってしまったようだ。
とりあえずピークハントを済ませたので一刻も早く立ち去ることにした。案の定、山頂の北側にも踏み跡は存在しなかった。北から西へと尾根の向きが変わるとさらに濃密なブッシュになり、折れ曲がったネットフェンスが余計通りにくくしている。 |
ようやく林道が見えた!と思ったが、近くまできて愕然。何と崖の縁に出てしまったのだ。自転車を置く場所もなく、片手で細い枝をつかみ、片手で自転車を担いだ状態で立往生。茨だらけの薮の中を強引に滑り下りていったので戻るに戻れず。何とか崖から降りようと格闘したが、足元は岩むきだしの崖で林道までの高さは4メートル、ほぼ垂直に落ちている。
ロープなど持参してないが、輪行袋のヒモならある。何とか口と片手を使って輪行袋のヒモをザックから取り出したが、ヒモをかけるための丈夫な枝がガケ付近の手に届く範囲にない。ヒモも短すぎる。かなり長時間格闘したが、結局100%無理だと諦めて、尾根まで戻ることにした。 |
その後、谷山への取付きを探しながら林道を戻って行く。ゆるやかな雑草の茂った斜面から適当に取り付いたが、やがて薮の混じった急斜面になり、思った以上に苦労して尾根に乗り上げる。尾根は杉の植林帯で歩きやすく、やがて小さな手書きプレートが木にぶら下がっている三等三角点の設置された谷山山頂へ到達した。
谷山
再び林道に戻って走り続けると、少し過ぎたところの林道わきにマウンテンバイクが停めてあるのが目に入った。場所はちょうど谷山の一つ北側にある鞍部なので、ここから霊仙山に登り、帰りは林道を颯爽と下って帰る魂胆なのだろう。同じようなことを考える人がいるもんだ、と思っていたが、この林道はいつまでもだらだらと長くてアップダウンが多く、なかなか標高が下がらない。しかも路面は結構粗いし、部分的に崩落しているし、結果的に登山道よりも時間がかかってしまうことになる。途中で▲幾利という四等三角点に立ち寄ることができた以外は、恩恵を受けることのできない林道であった。
▲幾利
林道は地形図に表示のある道路につながり、そこからようやく舗装路になって走りやすくなるが、その先でも激しく崩落している箇所が複数ある(右写真)。幾利林道も幾里山のネットフェンスも、薮谷峠一帯の大規模な伐採及び植林のためのものと察するが、近いうちに復旧される目途はあるのだろうか。一度自然に手を加えてしまったら維持するのも大変だろうし、将来は日本中が廃林道だらけになるのだろうか。まあ、コアなMTB乗りは歓迎するだろうが。 |
そしてやっと長い林道から抜け出た。林道を抜けてからの一般道もそこそこ長く、最後に駅に向けて登りなおさなければならない。普通に柏原駅から来た登山道を戻った方がはるかに速かったに違いないが、地図にない林道の偵察という目的を果たしたのでこれでよしとしよう。 |
ソノドGPSログ
【柏原駅(7:22)〜二本杉(8:19/8:26)〜四合目p772(9:02/9:08)〜林道へ出る(9:15)〜林道薮谷峠(10:03/10:13)〜林道終点(10:24)〜ソノド(10:56/11:14)〜幾里山(12:07)〜林道薮谷峠(13:27)〜谷山(13:56)〜▲幾利(15:03)〜コエド(15:30)〜関ヶ原駅(16:49)】