■天狗堂・サンヤリ・滝谷山 MTB          ■自転車旅行記へ

2011年10月23日(曇)

この縦走ルート、『山と高原地図』ではふもとの君ヶ畑集落から天狗堂までしか登山道が示されておらず(しかも破線路)、天狗堂からミノガ峠までは完全に空白地帯となっている。なぜ道がないのかといえば、ミノガ峠の近辺にはバス停がなく、どちらから周回するにしても林道歩きが極端に長くなってしまうため縦走する人がほとんどいないからだろう。しかし、こういう場面でこそ自転車の有用性が発揮できるというものだ。

バス輪行で終点の君ヶ畑まで行き(当然乗客は一人)、そばにある神社から登り始める。登り始めてすぐ、自分の後ろの方から鈴の音が聞こえてくる。気が散るので先に行かせようとして休止したりわざとゆっくり歩いたりしてみたが、全く追いついてくる気配がない。鈴の音は聞こえたり聞こえなかったりする。

p712まではよく踏まれた道だ。そこから先は一旦緩やかな尾根になるが、天狗堂への最後の登りは踏み跡のはっきりしない結構急な斜面だ(左写真)。急斜面なので下の方が見下ろせる。鈴の音の主と思われる人間の姿がちらちらと見えたが、まだかなり下の方にいる。気にせず先を進むことにした。


天狗堂


天狗堂へ着いた。一見、薮が多くて暗いピークだが頂上にある岩を登ってみると何とも広大な景色が広がっている。岩の上はとても狭く、自転車を立てかけて写真を撮るのにひと苦労。写真撮影に手間取り、ようやく岩に座って休憩でもしようかと思った頃には鈴の音が間近に聞こえてくるようになった。狭いピークで得体の知れないオッサンと二人きりになるのは嫌なので、すぐその場を離れて縦走を再開した。

サンヤリ

天狗堂から先は踏み跡はだいぶ薄れているものの、はっきりした尾根が続いている。山頂直下で少し迷ったが、無事サンヤリに到着。三角点があるものの余りはっきりしたピークではなく展望も今一つ。しばらく休憩していると、鈴を鳴らしながらサングラスをかけたいかつい感じの中年男がやってきた。話によると、三角点目当てでサンヤリまで来たが君ヶ畑に車を置いているので、ここで折り返して戻るつもりだという。それから鈴をつけないと危ないと注意された。何日か前に相谷(集落)でイノシシ用の檻に熊が捕まり、そのまま麻酔銃をかけて山へ逃がしたから、まだこの周辺をうろついているはずだという。次からはつけると答えておいたが、自分はどうも雑音を気にするほうなので実際に熊に襲われるまでは多分つけないだろう。

新しい地形図を見れば、サンヤリの南東側の標高800mの地点まで林道が延びているので、いざとなれば山頂から南東の尾根を下りてこの林道をエスケープルートとして考えていた。ところが時間はまだ12時と余裕があるので、縦走を継続することにした。

サンヤリ以北は登山地図にルートが示されていないだけあって、踏み跡らしきものはほとんどなかった。フェイントが多く、よほど注意しない限り別の尾根に逸れてしまうだろう。普通、道を外せば踏み跡が消えるのですぐ気付くのだが、この尾根はもともと踏み跡がないため、気付くのも遅れがちになる。実際2、3ヶ所で違う尾根に踏み入ってしまい、そのうち1ヶ所では標高差50m以上下るまで気付かなかった。

送電線と交わる付近までくれば、なだらかな尾根に巡視路がついた歩きやすい道となり、楽勝モードになる。ところが、送電線を超えて滝谷山三角点へと差し掛かると、途端に今度は薮尾根へと変貌する(左写真、薮コギ自体は大したことはない)。

辿り着いた滝谷山も薮の中だった。ただし、御池岳方面は切り開きがされていて素晴らしい展望を満喫できた。残念ながら紅葉にはまだ早すぎたようだ。

滝谷山

下りも薮が続いたが、やがて左下に未舗装の林道が見えてきたので、適当な所で林道目がけて踏み跡を下って行った。未舗装林道を少し走ると、全線舗装のミノガ峠に出た(下の地形図は古いので、永源寺側の道が表示されていない)。これを右に下れば君ヶ畑に戻り、左に下れば多賀方面へと抜けるが、駅までの距離が近い多賀方面へと下ってJR南彦根駅まで走った。結局、山で遭遇した動物はオッサン一人だけだった。

【君ヶ畑(9:30)〜p712(10:10)〜天狗堂(11:05/11:10)〜サンヤリ(12:00/12:15)〜p832(13:20)〜滝谷山(14:15/14:30)〜ミノガ峠(15:00)〜南彦根駅(16:10)】

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