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2011年2月5日(晴)

この山は登山記録が少なく、夏は深い藪、冬は深い雪で近寄れない。おととし、ひどい目に遭った「カナ山」(日記)と同じ稜線上の山だ。一般に紹介されている大吉寺経由のルートは、谷筋から尾根へと変わる急峻な地形のため、積雪期には不向きである。登山口の大吉寺まで除雪されていない林道を進むだけでも骨が折れるだろう。

今回、積雪期のルートとして、山頂から野瀬町の下之森神社まで続いている西(南西)尾根を選んだ。長くてなだらかな尾根なので、ヤブが雪の下に隠れてさえすれば、快適に歩けるかもしれない。

10:20、下之森神社に着く。野瀬集落は1メートル程の積雪で、神社の階段は除雪されていなかった。スノーシューを装着して境内に入るが、気温が高いのが災いしてか、湿った雪でよく沈む。境内からすぐ目前に尾根が見えているが、一面が雪に覆われてしまって取り付きがさっぱり分からない。半ば強引に急斜面を這い上がって尾根に取り付いた。その先も快適な尾根歩きとはいかず、シャバシャバの雪のためひどければ股下まで沈む。こうなるとスノーシューがかえって邪魔になり、なかなか足をひきずり出すことができない。スノーシューを外して、シカの足跡を辿って行くことにする。シカの足跡は連続していないので、途切れたところではラッセルとなる。

この最初のわずか標高差100mの部分が、1時間以上ももがき続けたところで、今回一番大変な所だった。

鹿の足跡はだんだんと太くなって、立派なトレースになる。標高340m付近で足跡が尾根から西へ逸れていくが、この雪の状態では足跡をたどるしか方法がなく、西斜面に踏み入れる。すると目を疑うような光景で、百頭以上の鹿が群れをなして斜面の上でくつろいでいた(左写真)。自分に気が付くと、上下二手に分かれて一目散に走り去っていったが、これほどの多くの鹿を目撃したのは初めてだ。

そこからしばらくは鹿の足跡を追って標高を上げていたが、やがて薮の中へ入り込んでそれ以上追跡するのは不可能となった。標高360m付近で再びスノーシューを装着する。尾根筋にはところどころ赤テープが残置してあり、先ほどよりは幾分沈みにくくなってはいるものの、よく見て進路を決めないと倒木などの下の空洞を踏み抜いてしまう。(よく見ても分からないが…)

標高600mにある鉄塔がコース途中で唯一、見晴らしが利く場所である。小谷山から己高山へと続く尾根が見えている。休憩しながら水をチミチミと飲む。大汗をかきながら登っているので、持参してきた1.5リットルの水では少し足りなかったようだ。

標高710mで地形図の点線の道から外れて、はっきりしない尾根を直登する形となった。地形図の点線の道はおそらく死んでいて、辿るのはほぼ不可能だろう。標高770m付近で大岩が突き出た箇所があり(右写真)、左側へ避けて回り込むが、岩付近は急斜面が連続していて緊張を強いられる。

標高880m付近で長浜〜米原の市境尾根に乗る。見晴らしはよくない。なだらかな尾根を進むと山頂へついた。14:55、登り始めて4時間半かかった。



天吉寺山山頂。三角点は雪の下で、プレートの類は一切なかった。写真の背面に写っているのは、約1km北にあるピーク999である。カナ山は、その更に2km向こうであるから、遠い道のりである。縦走する人はほとんどいないだろう。山頂から東も、木々の間が少し開けていて、ブンゲン〜虎子山の県境尾根が聳えている。

しばらくしてから往路を引き返す。下りも、大岩付近と尾根から神社への降り口が面倒であったが、何とか暗くなるまでに下山完了。夕闇の中、長浜駅まで自走して帰る。

【下之森神社(10:20)〜p320(11:20)〜p402(12:05)〜p550(13:00)〜鉄塔(13:10)〜p703(13:50)〜大岩(14:10)〜天吉寺山(14:55/15:10)〜下之森神社(17:00)】

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