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2011年12月29日(曇時々晴)

去年の石鎚山で猛吹雪に遭い縦走に失敗した。前回の無理な計画と貧弱だった装備を見直し、今年は剣山から三嶺への縦走を試みることにした。

コースは石鎚山と比較して相当なだらかだし、縦走路に特に難所らしい部分がなさそうだ。防寒対策も、去年は寝具はホムセンで買った厚さ1ミリのマットの上にシュラフのみだったが、今年は厚さ1センチのマットに交換、シュラフに加えてシュラフカバーも装備した。使い捨てカイロは前回持参しなかったが、今回は10個持参。グローブも上等なものに替え、ウールの手袋も用意した。燃料のプリムス缶も1本から3本に増やした。また、装備が格段に増えたので去年使っていた55リットルのザックでは納まり切らず、75リットルのザックに買い替えた。その代わり、去年持参したピッケルを今年は割愛した。

おかげで、ザックと自転車の合計重量が35kgになり、かつてないほどの重装備になった。

10時53分、JR貞光駅着。国道438号を南下する。駅周辺は積雪は全くない。

剣橋を過ぎ、標高500m以上になると道路上に積雪が現れ始める。標高が上がれば積雪も深くなるが、冬期通行止とはいってもゲートが閉ざされているわけではないので車の轍が続いており、スパイクタイヤであれば十分乗車して行ける。

← 写真の国道右手にある施設は閉鎖中の剣山スキー場。このスキー場の近くに車を停めて遊んでいる親子連れを見た。国道ではそれ以外にも、5、6台の車とすれ違った。

剣山スキー場を過ぎ、標高1450mの夫婦池に達する。ここはつるぎ町・三好市の市町境になっていて国道最高所でもあるが、峠名はついていない。確かに、峠という雰囲気ではない。

そこから先は見ノ越に向けて下りに転じる。この間、少しの晴れ間が現れて、右手に剣山とジロウギュウの全貌を見ることができた(右写真)。

なんとか、日が暮れるまでに見ノ越へ辿り着くことができた。この日は、予め予約していた剣神社簡易宿泊所(標高1415m)に宿泊。宿泊客は他に誰もおらず、予約しなければ営業していないようだ。宿泊帳を見れば前回宿泊した人の日付が8月だったので、自分は4か月振り以上に施設を利用したことになる。簡易宿泊という名前に反し、立派な宿泊施設だった。



●2011年12月30日(曇)

この日の予定は、剣山、ジロウギュウ、丸石と縦走し、丸石避難小屋へ宿泊する予定。

念のためアイゼンを装着したが、柔らかい新雪の上を歩くのでほとんど不要だった。トレースのついたゆるやかな登山道なので、ほとんど苦労せずに登っていけた。ただし、まだ正月前で入山者が少ないためこの日は登山道では誰にも遭遇せず、頂上に近くなるにつれて壺足のトレースになってきた。

疲労もなく順調に登ってきたつもりだったが、意外にもコースタイムの1.5倍かかって頂上ヒュッテに到着。雪と重い荷物のせいだろうか、これでは時間がかかりすぎだ。剣山から先はトレースも薄いことを考えると、明るいうちに避難小屋まで辿り着けるのか不安になる。

頂上ヒュッテは昨日から開けたばかりで、まだ客は誰もいなかった。コーヒーを注文して小屋番の人と会話したが、今年は雪が多いらしい。縦走路はどんな感じか聞いてみたら、この時期に縦走する人はほとんどいないとの事だった。

ヒュッテで休憩していたのは僅か30分足らずであったが、この間に天候が一変していた。さっきまではほぼ無風だったのに、いつの間にかすさまじい強風が吹き荒れている。自転車が横風に煽られて、木道の上もまっすぐに歩けない。

小屋から10分で剣山の頂上に到着。風が強すぎて長居できない。目を開けていられないので、ゴーグルを装着する。ジロウギュウ方面にもトレースが続いているようなので、それを辿って行く。

しかしトレースはいつの間にか風に吹き飛ばされ、辛うじて道形を示す程度のものになっていた。剣山頂上からの坂道を下り切り、ジロウギュウ峠までの長い平坦部には雪がどっさり積もっていて半ばラッセル状態になる。

そしてジロウギュウにかけて、痩せ尾根の急登が始まる。強風で体力を奪われてしまったためか、2〜3歩進んだだけで息が切れてしまい全然前に進まない。何度も撤退を考えたが、せめてジロウギュウの頂上を踏むまではと踏ん張る。

(右写真はp1791付近。僅かの晴れ間に撮影。)

1時間に及ぶラッセルの末、ジロウギュウに辿り着いた(コースタイムは25分)。相変わらずのガスで視界はほとんどないが、あれだけ強かった風も少しは落ち着いた。分岐点に戻って、縦走を再開する。分岐点には、「三嶺へ約7時間」の標識が立っているが(左写真)、この日の宿泊予定地である丸石避難小屋までは、コースタイム1時間20分(夏であれば)なので、もうひと踏ん張りだ。

ところが、ここから先は完全にトレースがなく、登山道がどこにあるのか全く分からない有様だった。積雪は1メートル程あり、腰までもぐりながら下る。そのうち、道を外して雪の下の藪に足を突っ込んで身動きできなくなってしまい、たまらず縦走断念。

去年の石鎚山に引き続き、縦走計画は幻に終わってしまった。この日は剣山頂上ヒュッテまで戻り、そこで宿泊することにした。他の宿泊者は4人組の1グループのみ。小屋番の人も、縦走するには荷物を減らして複数でラッセルしないと無理と言っていた。計画自体が無謀だったようだ。次の日は一度下山して、縦走ではなく単独で三嶺を登ることを決意。

剣神社(7:30)〜剣山リフト西島駅(8:45)〜剣山頂上ヒュッテ(9:40/10:05)〜剣山(10:10/10:15)〜ジロウギュウ峠(10:55)〜ジロウギュウ(11:50)〜縦走断念(12:00)〜剣山頂上ヒュッテに戻る(14:00)】

剣山GPSログ


●2011年12月31日(晴)

6時にヒュッテで朝食をとり、日の出を過ぎた7時過ぎに出発する。小屋の外にたてかけてあった自転車が凍っていた。小屋の外にある寒暖計ではマイナス15℃となっていたので、もしテント泊をしていたらかなり寒かっただろう(今回はテントを装備していたが、縦走を断念したこともあり結局使わなかった)。

今度はアイゼンは装着せず、昨日宿泊した見ノ越まで一気に下った。昨日と違って良く晴れていて、これから向かおうとする三嶺や周辺の山々を眺めながら下山。


↑ 剣山の下山途中より三嶺方面

見ノ越に着けば、そのまま国道439号を三嶺の登山口に向けてダウンヒル。ツルツルのアイスバーンの路面なので、速度は10km〜20kmで慎重に下る。とにかく、氷点下の中の下りなので寒い寒い…。

さて、登山口の名頃に着く。ここは標高900m。従って、三嶺の山頂まで行くには、再び標高差1000mを登り返さなければならないが、縦走することに比べればはるかに楽だろう。登山口から先にも林道が延びているが一般車は進入できないため、登山者はここにある駐車場に車を停めて林道を歩くことになる。

駐車場の奥にあるベンチに大勢の人が座っているのが見えた。しかし微動だにしない。

まさか全員凍死? → よく見れば、精巧に造られたカカシだった。

林道は途中まで乗車できたが、まもなく路面が雪で凸凹になってきたので押して歩いた。林道で一組の夫婦に先を越された。林道途中、標高1100m地点でアイゼンを装着して山中の登山道へ入る。トレースの有無を心配していたが、先ほどの夫婦の足跡も続いており、取りあえず一安心。

剣山に比べれば、登山道は急で入山者も少ないので断然に厳しい。でも、先に進んだ夫婦のおかげで何とか進んで行ける(途中でもう一人別の男性にも追い越される)。

ただし、標高1650mを過ぎた辺りから突如急勾配になり、トレースがあっても足が雪に深く沈むようになる(右写真)。

標高1700mを超えると樹林の限界に達し、見晴らしが良くなる。

← 剣山とジロウギュウを振り返る

しかし、実際は見晴らしどころではない。道はジグザグのトラバースとなり、とても不安定。一刻も早く通り過ぎたい。

この様子だと、先を進む夫婦は相当苦労してラッセルしているかもしれない。

案の定、先を進んでいた三人が、標高1800m地点で停滞していた。夫婦の話によれば、途中からトレースが消えてラッセルを続けていたが、岩壁の手前(右写真)で滑落の危険がある急斜面に突き当ってしまい(滑落すれば数百メートルあるのでまず助からない)、夏道がどこかも分からないので、ここで引き返すとの事だった。

右写真を撮影したところから10メートルほど先でトレースは途絶えている。そのままトレースの先端まで行ってみたが、そこからどの方向に進むにしても、とても自転車を担いだ状態で進められそうにない。GPSで確認すれば、この岩壁を乗り越えた所に宿泊予定の小屋があり、水平距離にして僅か50メートルほどしかないのだが、この状態では諦めざるを得ない。自分も三人に続いて引き返すことにした。

下り始めてすぐ、標高差にして80mほど下った所で反対側から登って来る別の二人組に遭遇。自分は断念して引き返すつもりだと伝えると、自分達で道を作るから一緒に山頂に行きましょうとの有難い言葉。二人組に先頭を行ってもらい、再び降りてきた道を登り返す。

そして彼らは難なく急斜面をトラバースし、その先の岩壁をピッケルで道を探りながらラッセルして登って行った(左写真)。自分はその後ろを有難くついて行かせてもらった。

ついに三嶺小屋に到着。ここから三嶺頂上までは危険個所はない。既に別方面から縦走してきた人のトレースがある。小屋は別ルートからきた5名を合わせて、合計8名になった。小屋で十分休憩した後、夕方遅めに三嶺の山頂まで往復した。

小屋での宿泊は、防寒対策のおかげで寒さは問題なく凌げた。問題は別ルートから来た5名の傍若無人振りである。この5名の男女は、お互い以前からの顔見知りなのかどうか知らないが、我々3名に対し挨拶も返事もろくにせず、深夜12時過ぎまで酒を飲んでドンチャン騒ぎをしていた。挙句の果てには、深夜12時に除夜の鐘だといって小屋の外にある鈴をジャンジャン鳴らしたり、年越しの瞬間に寝ている人間(つまり我々3名のこと)を『人間でない』呼ばわりするなど、まるで高知側から登ってきた自分達が格上だと言わんばかりの態度で大暴れしていた。大晦日だから許されると考えているのだろうか。さすがにキレてやろうかとも考えたが、相手はいい年をした中高年。いくら注意されても今更歪んだ性格は直らないだろう。それに凶器(冬山装備)を持った大勢の酔っ払い相手に注意すれば、下手すれば殺傷事件に発展しかねない。ほっといてやることにした。

ちなみにこの5名とは、『●野上ちさ』と名乗るババア(推定65)とその不愉快な仲間達である。

剣山頂上ヒュッテ(7:15)〜剣神社(8:10)〜国道439号名頃(8:45)〜林道標高1100m登山口(9:40/9:45)〜ダケモミの丘(11:45)〜トレース途絶える(13:45)〜三嶺小屋(15:15)】

三嶺GPSログ


●2012年1月1日(晴)

朝、山●上の奇声で目が覚める。誰も聞いていないのに自分の見た夢を大声で語っているが、ほとんどろれつが回っていない。どうやら馬鹿という病気は死なないと直らないみたいだ。

さて、この日はどの道を下るかということだが、昨日の2人組(といってもそれぞれ単独で入山)のうち先頭に立ってラッセルをしていただいたNさんと行動を共にすることにした。折角自転車を山頂まで運んだので高知側へ降りる別ルートを下ることも考えられたが、山野●らのトレースを当てにしたくもないし彼らと遭遇したくもない。それよりも、Nさんは軽四を名頃の駐車場に停めてあり、下山後、高知駅付近まで乗せてくれるという。自分はサイクリングではなくピークハントが主目的なので(邪道)、ぜひお願いすることにした。また、来た道を戻るのが一番無難でもある。

下山路は、ダケモミの丘からは新ルートと示された尾根道を経由(行きの時はトレースが無かった)。この尾根道は行きの平尾谷ルートよりもずっと快適で名頃駐車場まで続いていたが、標高1200mのところで林道と交わるので、そこから一気に林道を乗車して下った。

林道を下り始めて10分後、名頃駐車場に着くとNさんが既にコーヒーを作る準備をして待っていてくれた。そして自転車を荷台に乗せ、近くにある『いやしの温泉郷』で温泉につかり、祖谷渓の観光名所などを巡りながら高知駅まで送ってもらい、宿泊するホテルまで一緒に探してもらった。



●2012年1月2日(晴)

帰りの電車の指定席切符は帰省ラッシュのため遅い時刻しか取れず、それまで高知市内で時間を潰さないといけないことになった。

自転車で駅近辺を一通り周回してみたが、飲食店も娯楽施設(パチンコ屋除く)もほとんどなく、一体何をすればいいのか途方に暮れたが、『ひろめ市場』という観光&食事スポットを見つけて酒や鰹のタタキを楽しみ、残りの時間はネットカフェのカラオケルームで時間を潰し(一人で5時間歌いっぱなし、料金は1200円)、十分満喫してから午後7時半発の電車に乗って帰った。

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